第18話 射撃
【モーバ、急に強くなった?】
【なんかイキイキし出したのは見間違いじゃ無かったか】
【両手に花で羨ましいぜ!】
【……花?】
【村正ちゃんとリリーちゃん】
【ああ、村正ちゃんはそうだけど魚類は見分けつかないからな】
【男プレイヤーの幻影は女性の幻影らしいぞ?】
【じゃあメスなのか。でも両手に花は無い】
「お前ら散々言ってくれるな! 少しは俺の活躍も誉めろ」
「モーバ殿、所詮は烏合の衆。相手にする必要ないでござるよ」
「|◉〻◉)ぷぷー、負け犬の遠吠えですね!」
こいつらは、隙あらば煽っていくからな。
あと烏合の衆は俺らにも言えるからね?
ブーメランだからね?
「モーバ、さっきの力はなんだ? 突然精霊が死んだが」
「どうもこれ、俺の魔導書の力らしいんだわ」
「ルルイエ異本のか?」
「多分な。リリーもアナウンス聞こえたし、そうなんだろ」
「アキカゼさんの能力とは全く違うのだな。しょぼ、とても変わった力だ」
「おい、今しょぼいって言ったかお前?」
問い詰める俺に、パスカルは物憂げに耽って追求を回避する。
「そんな力があるならさっさと使え!」
オメガキャノンが無理難題を吹っかけてくる。
「今さっき覚醒した力をどうやって感知するんだよ? 言っとくがシステムにはなんの反映もされてねーんだぞ? 無駄に侵食度は上がってるが、理由は一切わからないと来た」
「|◉〻◉)僕との親密度が侵食度に反映されます」
「お前由来かよ!」
「じゃあ酷い扱いをしてれば下がりっぱなしじゃないのでござるか?」
それだ!
我が意を得たりと喜ぶが、魚類が得意げに語る。
「|◉〻◉)残念ながらそれは難しいかと。だって僕がいいなって思った箇所が親密度に反映するだけで、酷い目にあっても別に親密度は減りませんから」
「じゃあ上げない様に村正といちゃつくか」
「|>〻<)それはそれで嫌ー!」
構って構ってと抱きついてくるリリーを、引き剥がす様にしながら水の精霊の場所へと辿り着く。
道中のアトラクションはマグマを浴びながら行ってもよかったが、全員無事に渡るためにも属性停止の掌握領域を使って安全圏を確保。
今回は地、音、風を上げたいオメガキャノン、ジャスミン、陸ルートがお休みし、俺、村正、パスカル、リリーの四人で挑むことに。
正直余裕だろうという気分だったが、案の定余裕だったな!
【秒殺すんなし】
【しょぼい能力かと思ったが、精霊には効果覿面なのな】
【精霊殺しやんけ】
【ライダーって本当に規格外の能力者だよな】
【やってる事は多分クトゥルフの鷲掴みなんだろうけど】
【ああ、それか! 規模が小さすぎて何かと思った】
さっきから小さい小さいうるさい。
いいじゃねーか、リスクなしで使えるんだぞ?
「|◉〻◉)僕との親密度は上がりますけどね」
いや、あったわリスク。俺がこの能力を酷使すればするほど、侵食度上がってくじゃんよ。
正気度が減ってないのが唯一の救いっちゃ救いだが。
「お見事でござったモーバ殿。某の出番も欲しいところでござったが」
「次からは出力弱めるよ。つーか掴む意外での活用法を考えないとな。掴むとまんま出力が上がるからダメなんだ」
と、俺の能力値はこんな感じになった。
地(視覚+) _3
水(妖精吸引) _5
火(マグマ耐性)_5
風(スキル+) _2
音(聴覚+) _2
EPはトータル170%
上限は伸びるが、回復は自然回復だから相変わらずカツカツだ。
リスクはあるが、龍人族の村に備えて今のうちから蓄えておくことにする。
俺は火と水がこれ以上伸びないので、オメガキャノンのお手伝いをする。
よく考えなくても試練、続くよなぁ。
水の精霊はノーマルだったが、断章っつったか?
地と音は未取得なので、当然試練として立ち塞がった。
<ネームド精霊:ティターンが現れた>
[我が名はティターン! 我が怒りの拳、受けるが良い!]
通常の地の上位精霊物理が有効だが、こいつは憑依型じゃなく精霊オンリー。
剣士風なのに、剣技は全て遠距離対応というぶっ壊れだ。
見えるのでそれほど脅威ではないので領域を掌握しながら払い、得意の射撃で領域を打ち込んでみた。
[ぐぅ、何だこの能力は! 我の属性が吸われていく!]
ビンゴ! この力は直接攻撃の他に間接でも有効そうだ。
弓矢は威力が伴わないからあまり人気はなかったが、油断を誘うにはもってこいの攻撃だ。
「村正!」
「疾く召されよ! 回転連武、流水」
見たことのない技だ。
カメラで良く写る位置に移動して、素早く着地画面へと移動する。体を駒の様に回転させて物理攻撃とビームソードによる連撃。それも十数回は擦り当てていた。
ビームは透過するが、斬撃は岩も貫通している。
恐ろしい早い連撃だ。いつの間にこんな技身につけたんだ?
見せ場を用意しつつ、射撃で足止め。
ティターンは水の精霊よりガッツがある様で、耐久も多かった。
瞬殺とはいかず、こちらを巻き込むオメガキャノンの砲撃をパスカルの氷のレンズでなんとか命中させ、ようやく討伐に至る。
今回はパスカルがいたからいいが、お前もう絶対に呼ばないからな!
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