ノスタルジック レイニー

猫矢ナギ

07.01.XX1X 晴れ


 からりとした心地よい風が身を包む。なんと晴れやかな良き日だろう。

 青々と輝く芝の広がる公園で、深く息を吸った。見渡すかぎり緑と青の境界線だけが広がる、開放感で気分がいい。

「クラウディア!」

 振り返って呼ぶと、大切な彼女が息を切らしながら小さく駆け寄って来る。その様子に、自分がまたやらかしてしまったことに気がついた。

「あっ。ごめん、はしゃいじゃって」

「ううん。平気。大丈夫よ」

 朗らかに笑う彼女に、ほっと胸を撫で下ろす。

 今日は私のわがままで、こうして二人でピクニックにやって来たのだ。

「今年もこうして、レイニーの誕生日を祝えることが何よりも嬉しいの。だからレイニーが楽しいなら、わたしも楽しいのよ」

 その言葉で、心の奥底が強い熱を帯びるのを感じる。彼女にはいろいろと心配や迷惑を掛けてばかりだというのに、どうしてこう、見捨てずにいてくれるのだろう。

 気がつけば、自分より背の高い彼女に、飛び込むように抱きついていた。

「クラウディア、大好き」

「ふふ。わたしもよ」

 そっと腕を回し、包み込むように抱き返してくれるクラウディアに、何もかも満たされていく。

 ゆるやかに脈打つ鼓動が溶け合うような、このぬくもりがある限り、私は居場所を失うことなんてないのだと。



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