第13話

「ぶちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


「うわっ!」


 俺は座っていた部長に抱きついた。


 他の人から見ればタックルに間違わられるような勢いではある。


 部長は俺のどんな勢いでも受け止めてくれるから好きなんだよな。


「また俺フラれました」


「あれ、またフラれちゃったの?」


「今回は告白する前にフラれました!」


「わーそれはすごいね。そんなのやろうと思ってもできないよ」


「こんな俺を褒めてくれるのは部長だけですよ!」


 だから俺は部長が好きなんだよ!


 部長は俺のそんなに凄くない事でもちゃんと褒めてくれる優しい人なんだよ!


 …あれ?これって褒めてくれてるのか?


「おい!シューヤさんから離れろ。役立たず」


「誰が役立たずだよ。あの時倒したのお前じゃなくて俺だからな」


「嘘つくなよ、お前なんかが倒せれる訳ないだろ。だから、お前は学園内で浮いてるんだよ」


「学園内で浮いてるのは今関係ないだろ!あと、お前も浮いてるからな」


 何でこの部活の3分の2は学園内で浮いてんだよ。


 学園内で浮いてる2人をこの部活に入れてくれた部長はやっぱり優しい。


「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。2人ともマイさんの依頼を達成してくれてありがとう」


「「……」」


 部長にそんな事を言われてしまったらもう喧嘩もする気は起きない。


 それはレンのハーレムクソ野郎も同じ様だ。


 

 ガラガラッ



 扉からノックもせずに誰かが入って来た。


「レン。まだこんな部活に入ってたの?」

 

「来るなって言っただろ!あと、どの部活に入ろうがお前には関係ないだろ!」


 ノックしてから部屋に入ってこいよ、失礼な奴だな。


「おいおい、失礼な奴だな。部外者は帰れよ。ついでにレンも連れて行ってくれ」


「げ、魔なし嘘つきのジン」


「誰が魔なし嘘つきのジンだよ!」


 絶対に嘘つきはマイちゃんが広めただろ。


 だって、この前まで魔なしだけでいけてたのに、マイちゃんの依頼以降から嘘つきがついてしまっている。


「ほら、こんな変な奴がいる部活なんか辞めなよ」


「おい、言い過ぎだろ。俺がお前に何をしたって言うんだよ」


 流石に俺でも傷つく事くらいあるからな、何もしてない奴に噂だけでこんなに言われる筋合いは無い。

 

「は?覚えてないの?アンタ1週間前に私に気持ちの悪い告白してきたじゃない」


 すぅー、そういえばどこかで見た事があるなとは思っていたけど、まさか告白した奴だったとはな。


「お前、ミキにも告白したのかよ」


「良いだろ別に、そこら辺に歩いてたんだから」


「そこら辺に歩いてるだけで告白したの!?」


「良いだろうが、数打ちゃ当たるんだよ!お前はそれに巻き込まれただけだ」


「何よそれ…」


 呆れた顔で俺を見るな。


「とりあえず、部外者は帰れよ。レンも連れてな」


「そんな事魔なし嘘つきに言われなくても最初からそのつもりだから」


「まぁまぁ落ち着いて。ミキさん?とりあえず今日は帰ってくれるかな?また冷静に話し合えるようになったら来てくれる?」


「…分かりました。今日は帰ります」


 部長の言うことには素直に従うのかよ。


 ミキという女は帰っていった。


「失礼な女でしたね」


 下っ端感のある言葉だな。


「ジンは誰かれ構わず告白しないようにね。傷つくだけだから」


「傷つく前提ですか…」


 部長の言葉で傷ついてしまいましたよ。


「おいレン。彼女を部活に連れてくるなよな!」


「別に彼女じゃねぇよ。ただの幼馴染みなだけだ」


 羨まし。


 彼女じゃなくても幼馴染みがいるの羨まし。


 もう完全にこいつが主人公じゃん。


 で、あいつはレンのハーレムメンバーじゃん。


 

 コンコン


 

 ノックの音が聞こえる。


 絶対にレンの幼馴染みだ。


「俺あいつシバいてきますね」


「シバかなくていいからね」


 ごめんなさい、俺はあいつをシバきます。


「おい!何しに帰って…」


「あ、ごめんなさい。ここがボランティア部っていうのを聞いて」


 

 ズドーーン



 また来てしまった。


 俺の運命の人が。



 

 

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