それぞれの過去と思い 二十四話

黒色のサラサラの髪の毛に淡い青色の瞳をしている。仮面の色が真っ黒だから瞳の色がよく見える。身長はルーミより少し高い。


「あの、お名前伺ってもいいですか?」


「…シグリス」


「シグリスさんですね。私の名前は…」


「ルーミ!」


名前を言おうとすると、違う人物に名前を呼ばれてしまった。そこは自分の口から言いたかった…。ルーミはガッカリしながら横を見るとイリスがいた。


「何してんだよ」


「たすけてくれたから、お礼を言ってたのよ」


「…あっそ」


「それより、あの子は?」


「ああ?めんどくさいから無視してきた」


あり得ない!?無視した?!


言葉には出さなかったが顔に出ていたようだ.


「悪いかよ」


「悪いに決まってるでしょ?!」


「そうかよ」


イリスは申し訳ないと思っていない。ルーミは呆れて大きなため息をついた。そして、顔を上げシグリスが立っているのを見てほっといてしまったことを思い出した。


「あ、シグリスさん。すみません。えっと、私はルーミです。あー…」


これ以上何を話せばいいのかわからず戸惑っていると、ホールの入り口にライが立っているのが見えた。


「すみません。私はこれで」


頭を下げてその場を去る。そしてライの元へ駆け寄る。


その隣にジーナはいなかった。


ライの目は腫れている。どれだけ泣いたのだろう。何があったのかなんとなく予想はできる。ライはきっと一緒に街に帰ろう、と行ったんだろう。


それをジーナは拒んだ。理由はわからない。


「ライ…大丈夫?」


「…うん…」


ライは大丈夫と言っているがそのようには見えない。明らかに落ち込んでいる。ドレスも少し濡れているのがわかる。


「ジーナ…ここにいるって…?」


ライは声に出さずゆっくりと頷いた。


「こっちを選んだのか」


後ろから追いかけてきたイリスが口にした。ルーミはイリスのお腹を殴って黙らせた。そんなことを言ったらライが傷つくでしょ、との思いを込めて。


イリスはウッといってお腹を抑えた。言ってはいけないことを言ってしまったと理解してライに殴り返さなかった。


「…大丈夫よ…。二人はまだパーティーを楽しんでて。私は向こうで休んでるから」


ライは無理して笑って中庭へと向かっていった。


「…大丈夫かな…」


ライの背中は寂しそうだった。

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