第9話



入学してからまだ数日目、ようやくクラスの女子の顔と名前は一致したけれど、他のクラスの人なんてぜんぜんわからないし、同じクラスの女子でさえ話もしたことない人ばかり


ましてや男子なんて、顔もまともに見れないから、何組の人なのかすら分からない。



そう、私、男子が苦手なんです。



小学生のころ、男子にいじめられたのがきっかけで、話はもちろんのこと、顔もみたくないくらい男性が嫌いになってしまった。


中学生の頃ーー


男子に近づくことが出来ない私は、楽しそうに男子と話している女子達の気持ちが、理解できなかった。


羨ましいとも思わず、いつも自分の席で本を読んでいた。


そんな時、ボッチの私のところへ来てくれた人がいた。


「 奈々瀬さん? 」


?…


私のふたつ後ろの席の真谷さんだった。


「 読書中ごめんね、ちょっと、いい? 」


一緒に廊下の隅っこに移動すると、真谷さんは真剣な表情で話し始めた。


「 あのね…矢口くん… 」


「 や ぐちくん? 」


「 そう!あの矢口くんだよ!…あっ。ちょっとこっちへ… 」


真谷さんに腕をひっぱられて、今度はひと気の無い、階段のほうまで移動しした。


( うちらのクラスの矢口くん… )


( それが…何か? )


「 何かって!? えー! …あ…しー… )


「 ど、どうしたの?真谷さん? 」


「 だって、女子の憧れのあの矢口くんのこと、知りたくないの? 」


   

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