戦争はどうして行われるのでしょうか?平和を愛する心を。隣人を愛する心をつないでいきたいものです。とても難しい事ですが……。
記憶という額の中に浮かび上がる情景は、とても温かくて、かなしい。作者様の、芯の強さが感じられる文章は、読者の心に深い余韻をもたらします。願わくば、作中の秋が過ぎ去って、新たな季節が幾度となく巡ろうとも。ススキ光る穏やかな景色が、今と変わらず存在してくれますように。
心の用意をせずに拝読し始めたら、なになに、この気高い文学性は……。少女と驢馬のような馬と曳き手の青年と、三者三様に健気でいたましい。戦争で失われた命は二度ともどって来ないが、魂魄は現代に生きている。カクヨムさんが誇る作品のひとつ、多くの方にお読みいただきたいです。
近代国家同士の戦争はもう過去のものだと思っていたのに、それはとんだ間違いだったと知ることになった2022年。戦争を語る物語が急に現実味を帯び始める。さと子とパン売りのロバ。あどけなく優しく静かに語られるこの詩のような物語は、今正に私たち一人一人に声なき叫びを聴かせている。