【番外編】レティの鉄道講座 そのさん!


「はいどうも〜!今回もやってまいりました鉄道講座のお時間です!」


「よろしくお願いします!」


「はい、今回もアシスタントにKさんをお迎えして進めてまいります!」











「さて、今回のテーマは……ズバリ、『動力』だよ!」


「動力かぁ……レールや車輪と同じくらい重要だよね〜」


「その通り!本編でもかなり開発には苦労してるんだけど……とにかくこれがなければ車両を動かせないからね」


「本編では人力トロッコが出てきたよね」


「うん。ああいう梃子で動かすものの他にも、直接人が押していたものも昔はあったみたいだよ」


「へぇ〜」


「あとは歴史的には馬車鉄道なんてものもあったね。だけど、それらは大量かつ高速に輸送するには余りにも非力すぎるよね」


「それはそうだろうね」


「で、現在に至るまで様々な近代的な動力が鉄道車両には採用されたのだけど、その始まりと言えば……」


「蒸気機関車!」


「そうだね。蒸気機関の原型とも言うべきものは、かなり昔からあったみたいなんだけど……実用的なものといえばイギリスのジェームズ・ワットが開発したものが有名だよね」


「あ〜、歴史で習うよね。産業革命の原動力になったって」


「そうだね。でも、まだその段階では乗り物には応用されてなくて、工作機械とかの定置動力として使っていたんだ。それがやがて蒸気船になり、そして鉄道にも応用されるようになった。本格的な旅客鉄道用の蒸気機関車としては、ロバート・スチーブンソンが設計した『ロケット号』が有名だね。そして日本には蒸気機関車の模型(といってもちゃんと動くやつ)が入ってきて始めて蒸気機関に触れたんだね。まぁ、その辺の細かい話をすると蒸気機関だけで話が終わっちゃうので、詳しくはウ○キで!」


「なるほど……じゃあ、他の動力は?」


「日本の歴史で言えば、蒸気機関の次に動力として登場したのは電動機モーターだね。京都で走った路面電車が最初で、1895年(明治28年)開業だって」


「そんな昔から電車が走ってたんだ……」


「もちろん、現代の電車は格段に進歩してるんだけど。昔は直流モーターを使ってたけど、今の主流は交流モーターで、制御方法も全くと言っていいほど違うからね。ま、それも細かい話は割愛だよ」


「詳しくはウ○キで?」


「そう。で、昔の直流モーターなら大体の仕組みは分かるから、私的には蒸気機関とかよりは実現可能かな〜、なんて思ったりしたんだけど」


「けど?」


「電動機は当然のことながら、電源が必要になるんだよね」


「そりゃそうだ」


「鉄道車両を動かすくらいの高電圧大電流が必要だから、発電所が必要だったり、送電のために架線を張ったり……とにかく地上設備に凄くコストがかかるんだ。たから断念した」


「なるほどね〜」


「で、電動機以外で主流になってる動力と言えばディーゼル機関があるね」


「地方でよく見るやつね」


「そうだね。さっき言った通り、電化にはコストがかかるからね。電車ってのはある程度輸送量が多い路線向きなんだよ。で、そこまでコストがかけられない地方なんかは非電化で主役はディーゼルカーになるわけ」


「ふむふむ」


「で、ディーゼル車も主流としては二つの方式に分けられるんだ。液体式と電気式ね。機械式ってのもあるけど、今の日本では殆ど例が無いはず」


「ディーゼルエンジンで車輪を動かすだけじゃないの?」


「ディーゼルエンジンの動力が直接車輪に伝わるわけじゃないんだよ。内燃機関全般に言えることなんだけど、高負荷静止状態からは起動できないから車輪と直結することは出来ないの。だから間に動力伝達の仕組みが必要になる。で、液体式っていうのはエンジンと車輪の間にトルクコンバーターって言うのが挟まるんだよ。で、このトルクコンバーター内で動力伝達に液体(オイル)を使うから液体式ね」


「あ〜、自動車で言うAT車ってことね」


「そういう事。で、次に電気式なんだけど……これはディーゼルエンジンで発電機を回して、それで発生した電気でモーターを動かすんだ」


「え〜と……何だか回りくどい気がするんだけど……」


「確かにそう見えるんだけどね……液体式に比べて色んなメリットがあるから主流になってきてるんだよ」


「どんなメリットがあるの?」


「一つは、実際の動力としてはモーターになるからね。電車と設計を共通化出来てコスト削減に繋がるよ。あとは複雑な機構のトルクコンバーターが要らないからメンテナンスしやすいとか、エンジン(発電機)とモーターの間は電気的に繋がってるだけだから、設計の自由度があるとか……まぁ、短所もあるんだけど、それ以上の長所が多いってことね」


「なるほど〜。動力一つとっても奥が深いんだねぇ……」


「そうでしょう?それで、今まで出てきた蒸気機関、電動機、ディーゼル機関は鉄道の歴史上で主流になった動力ってことになるんだけど、他にも色々あるんだよ」


「へぇ、まだあるの?」


「うん。他の動力として先ず上がるのはリニアモーターかな。まぁ、モーターって言うくらいだから電動機の一種なんだけど」


「超電導リニア!」


「そうだね。もうすぐ営業路線が出来る……と思いきや何だか難航してるみたいだけど。リニアってのは『直線』って意味なんだけど、その名の通り回転軸を持たない直線的なモーターってことなんだ。超電導リニアは更にマイスナー効果・ピン止め効果によって車体を磁気浮上させて超高速で走行するんだね」


「あれ?超電導じゃないリニアモーターってのもあるの?」


「あるよ〜。都営大江戸線がそうだよ。鉄輪式リニアモーターカーって言うんだ。リニアモーターは普通のモーターよりも小型化出来るから車体を小さくできる……つまり、その分トンネル断面も小さく出来るんで、建設コストを削減できるんだ」


「あ〜、そう言えば少し狭いよね……」



「変わり種としては、車輪を駆動するのではなく、飛行機みたいにプロペラやジェットエンジンで推進力を得る、なんてものもあったね。実験の域を出なかったと思うけど」


「何それ面白そう」


「実用性は疑問だけどね。後はそうだね……動力源の話もしておこうか」


「動力源っていうと、電気だったり燃料だったり?」


「そう。蒸気機関であれば水と石炭。重油も使ったりしてたけど。ディーゼル機関はもちろんディーゼル燃料(軽油)、電動機は電気……なんだけど、最近では水素燃料電池を電源にした車両が開発中らしいね」


「ふぇ〜……ホントに奥が深い世界だね〜」


「そうでしょうそうでしょう。……と、まぁ、動力一つとってもこれだけの選択肢があるんだけど……」


「レティは全く違う動力を作ろうとしてるんだよね」


「その通り!結局、前世の知識があったって専門で学んだわけじゃないから、細かい設計なんか分からないんだよ……まぁ、異世界鉄道なんだから魔法で解決すべきでしょ。お話的に」


「こらこら。身も蓋もないこと言わないの」




「というわけで!!本編ではいよいよ動力も含めた本格的な開発が始まるので、乞うご期待!!」


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