第46話 シリョノオモムクママ
「
虹色の矢は煌々と燃え盛る炎の中にいる黒い竜に向かって、その余韻を残しながら
「さてと、後はあの
「ってか、だいぶ
少女は炎を越えて進んで来る「
そしてそれが、
「皆の者、かかれぇッ!」
「へぁ?!来てくれたの?」
「アンタを敵に回すよりはコイツらの方がよっぽどラクそうだ。まぁ、アンタと違って歯応えはかなり無さそうだけどね。
「助成させてもらう!
「みんな……よぉし、こうなったらアタシも頑張んなきゃねッ」
エ・ラーダに率いられた軍勢は結局のところ、
流石の少女でも、1人では骨が折れる程の「量」だ。だからと言って、山ごと吹き飛ばすワケにもいかないのだから大規模な魔術は使えないし、使えても
拠って、軍勢の助太刀には大いに助けられていた。
それでもなお、
これは殲滅完了後の事。全員で無事に「パルティア」に戻った少女は、エ・ラーダから声を掛けられ小さな「ピラミッド」に呼ばれていた。
少女は「ピラミッド」の中へと続く階段を一段一段踏みしめて登っていく。小さな「ピラミッド」を照らす陽の光は既に無い。周囲の壁には松明が付けられ煌々と暗闇に抵抗している。高い壁にも松明は取り付けられているので、誰かが宙を待って取り付けているのかもしれない。
そんなコトを考えながら少女は階段を登って行ったのだった。
「えっ?!ちょっと、どう言う事?アフラ、何でここにいるワケ?」
「その件については、此の我から話そう」
少女が入った小さなピラミッドの中には、「パルティア」の元の持ち主であるアフラ・マズダが
流石にこの状況は想定しておらず、少女は混乱する事になったのだ。
「だがその前に……。此度は大変、世話になった。街に一切の被害を出す事なくあの
「アフラ……。にしては、ポーカーフェイスのままなのね?」
「さて、此度の件では此の我も思う所があったのでな、アフラ・マズダ殿にお越し頂いた上で、そなたも交えて話しをしようと考えたのだ」
「話し?アタシに何かをさせようって魂胆なのかしら?」
「まぁ、此の我の話しを最後まで聞いてから返答してくれればよい」
「じゃあ、黙ってその話しを
「では、話そう。我々は神域を持たない「組織」だった故に、神域を手に入れる事に固執し過ぎていた。その為に、今回の侵略を巻き起こしてしまった。そして、事前にその土地の情報などを得ていなかったごとが今回の騒動を引き起こしたとも言える。もしもあのまま
エ・ラーダの顔は、
アフラの表情は……まぁ、言わなくても分かるだろう。
「此度の事で我等は反省をし、この事を今後は教訓にしていきたいと考えている」
「だがッ!我等が安住の地を求めているのは確かな事実であり、新たに産まれ落ちる神々が
少女は何となくだが、エ・ラーダが言おうとしている事が読めた……が、やはり黙って聞く事にした。
アフラは……まぁ、もうこの
「アフラ・マズダ殿のご好意に甘んじ、この地を我等の安住の地とさせて頂く事に
エ・ラーダの瞳に宿る意志は
故にその口を開いていく。
「それで双方が納得しているなら、いいんじゃない?」
「で、早い話しがアタシに
「頼まれてくれるか?」
「アタシがその事を伝えられる相手って、「オリュンポス」と「
「それで構わない」
「じゃあ、それで良いなら請け負うわ」
「「宜しく頼む」」
2人はタイミングを計ったようにハモっていた。元々は敵対者だったが、それ以前に2人の思考の向き方は同じなのかもしれない。要は似た者同士なのだ。
人間界は「言葉の壁」で戦争を起こしたが、「神界」はそれこそ単純な「定住地」で戦争を起こした。言葉の壁よりはよっぽど原始的な動機かもしれないが、生きていく為に安住の地は必要な事に繋がるので、結果的に手を取り合ってもらえたなら一安心した少女であった。
少女はその日、「パルティア」に
駄目なら駄目でなんとかなるだろうと安易な考えの元に……。
少女が準備を整えてピラミッドの部屋から外に出ると、そこには「パルティア」の面々が待っていた。早朝にも拘わらず……だ。少女はその光景に少しだけ驚いたが、少しの会話をした後で「それじゃあ、行ってくるわね」と紡ぐと、
「流石に主神のいる部屋に直接転移するのは失礼よね……。そこまで仲の良い関係でも無いし」
「でもちょっと、やっぱり早かったかしら?出直した方がいいかなぁ……」
『此方へ』
「えっ?!」
少女はアマテラスのいる「社」の側に転移したが、やはり社の目の前で怖じ気付いてしまっていた。しかしそんな少女の脳裏に一節の詩が流れて来たのだ。
それは確かに脳裏に響いていたが、気のせいかもしれない。少女の願望が聞かせた詩だったのかもしれないが、それをきっかけにして社に向かって歩を進めていく。
「社」の前には門番はいなかった。前回来た時は意識していなかったので記憶にない。
拠って少女は恐る恐る社の中に入っていく事にしたのである。
タケミカヅチに最初に連れて来られた扉の前に少女は立ち、「すいません。アマテラスさん、いらっしゃいますか?」と扉に向かって言の葉を紡いでいく。
すると『どうぞ、お入り下さい』あの時と同じように声が響き、大きな扉が重い音を立ててゆっくりと開いていく。
こうして少女は中へと入る事を許されたのだった。
前回と同様で此処は変わらず、きらびやかな空間だった。そして扉から入ると少女はやはり勝手に、そうするのがまるで「自然」とでも言うかのような
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