第44話 テンビンノカンシ
「テルース」に伝わる神話の一つに「
それは、「惑星融合」前のテルースにあった大国の創造神話の一端であり、その国に伝わる伝説やお
その「神話」に拠れば……、とある所に一柱の神がおり、その神は
その神は天秤を持ち、時に監視している人間達を間引き、時に運行の妨げになる星々を間引いているのだ……と。
「テルース」に於ける創造神話の創造神でこそ無いが、創造神に拠り生み出され、創造神から天秤を託された神であって、創造神に匹敵する権能と
それが、主神、エ・ラーダである。
「貴方が、「エ・ラーダ」かしら?」
「如何にも。此の我が「エル・シーナ」の主神、エ・ラーダ。エ・ラーダ=アレクスロードである」
エ・ラーダはピラミッドの階段をゆっくりと降りてきている。表情には自信が満ち溢れ、「カツカツ」と響く足音はそれを強調している様子だった。
その
長い髪の毛と、顔に宿る瞳は
そして、左手に持っている「天秤」も然りだ。
その全てが金ピカで、その全てが天井から射し込む陽の光を反射していた。だから少女としては眩しくて仕方がない。
別に財を成すコトが悪いとは言わないが、財ですら実用性を好み見せびらかすコトを善しとは考えていないので、その成金趣味全開の姿には相容れない何かを感じていた。
更には
だが、そんな事を思っていても挑発するならいざ知らず、現状では口に出す必要性を感じない為に、「話しがあるんだけど?」と
「侵略者が話しとは……な。どこぞの誰かに頼まれたから、この神域を返して欲しいとでも言うのか?」
「残念ながら、アタシは「パルティア」を取り戻してくれと頼まれて来たワケじゃないのよ」
少女は
それの意味するところは幾つもあるのだろう。
「ほう?それでは一体、何を目的とした「話し」がしたいと言うのか?」
「ここには「
「
「それの討伐にアタシは来たの。ちなみに「
先程までの戯ける仕草はもう失くなっていた。少女は真剣な表情で、瞳に意志を込め言の葉を紡いでおり、その真剣さが窺える様子だった。
「アタシはその「
「うむ。此の我の「天秤」が動かぬと言う事は、嘘は言っておらぬようだな。良かろう。それならば、その「
「えぇ、それで構わないわ」
少女はその言葉を以って
少女が「エル・シーナ」の元に滞在している間、少女は特に「エル・シーナ」の
大きい「ピラミッド」内の一部屋を
ちなみに食事の際にはエ・ラーダから少女に対して幾つも話題が振られていった。
少女はその話しに対して普通に受け応え、エ・ラーダはその解答から少女の人となりを、それ相応の評価と共に感じ取っていたのだった。
そんなこんなで「
現れた先は、大きな「ピラミッド」の裏手後方にある山の頂。そこに1匹の魔獣が現れたのだ。
それは
その身体は
更には、その巨体に対してアンバランスに膨れ上がった巨大な
完全に全ての重心が頭にあるだろうと感じられる姿でありながら、頭を擡げても顔面着地しないのは何故なのだろうか……。
少女は頭の中に「何も入ってないんじゃないか」と勝手に想像した上で、バカな妄想に浸るのをやめた。
後ろ脚の無い「竜」は前脚2本で山肌を掴み、翼を広げ、
その身体から発せられている力の波動は禍々しく、身の毛がよだつくらい
地鳴りと共に嫌な予感に見舞われた少女は食べていた昼食を放り出し、「ピラミッド」の内部から飛び出して山の頂にいる「
その光輝であっても、光を喰らい尽くす身体は反射すら許さない様子だった。
「あれが「アフラの知らせ」って事ね?」
かちゃ
「ブーツオン」
「あれが「
エ・ラーダは少女を追い掛けて来ていた。突然血相を変えて昼食を放り出したから怒っている……というワケではなく、少女と同じモノを感じ取っていたからだろう。そして出て来た直後に既に臨戦態勢を整え終わらせ、空を舞っている少女に目掛け声を投げていった。
あと少し遅ければその声は少女の背中が聞いていた事だろう。
「そのようね。アタシはアイツの討伐に向かうけど、この街に被害が出る可能性もあるから、それは、そっちで何とかしてもらえるかしら?」
「アイツがここまで来ればそれこそ街がなくなるだろう。だから街は気にせず存分に暴れるがいい」
少女はその言の葉に何も重ねることなく、ただ微笑むと「
エ・ラーダは空を駆けていく少女の姿をその目で追い掛けていたが、その顔には悔しそうな表情を浮かべていた。
少女は「
「
「さぁ、とっとと倒されちゃってもらえるかしら?アタシにはやらなきゃいけないコトが、たっくさんあるの。アンタに構ってあげられる時間すら惜しいのよッ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます