あのカラフル極まりない静かな戦場に逃げ込んでいる間は生きている気がする
大槻悟(おおつき・さとる)は、書店で働く社会人三年目。
就活がうまくいかず、本が好きという理由だけで縁もゆかりもない地方書店チェーンをヤケクソで受けたところ最終面接を突破してしまい、地元の関西を出て働いている。
幼い頃から好きだった本と、本が好きな人々に囲まれた仕事は、世間一般のイメージとは真逆で忙しい。でも、そんな日々に少しばかりの幸福感を覚えている。
海風の強い町の国道沿いにある、社員が二人だけなのに無駄に広い書店での、ありふれたようでそうでない一日の記録。
※書店員の仕事が知りたい人向けの、半分エッセイのような小説です。
※著者の経験が下敷きになっていますが、三〜十年前の記憶が元となっており、また、特定の書店に偏らないよう設定を混ぜたり変えたり曖昧にしたりしていることをご了承ください。