第9話
「
異世界・並行世界の発展を
「な、にを……っ⁉︎」
「はて、そこに魔術の
驚愕は
記憶は過去を、今を、未来をあさり……
考えすぎてしまう。
いつぞやに学校から転校のカタチで
病人がふとあらぬ
フラついた酔いどれがふと止まって硬直するのは単に肝臓の限界を迎えるからか?
ふと思い出せるぐらい仲のイイ友人は、もしやすれば?
「……そろそろ認めるべきでしょうね。あなた方がこのセカイで生きているように、あなた方に
なにせ誰かが
「……なるほどのぅ。ソナタ、土台よりも大事な
「ええ。どこかのセカイであり得たかもしれない、創作物のキャラクターそっくりな誰か。つまり
ニヒルに笑う
「それにしても面妖ですね。どれだけファンタジーだと考えても、もしかすれば既に別のセカイが
「フン。その言葉に当てはまるのは、記念すべき一人目として呼び寄せられたソナタじゃろうに。おおかた、魔術も科学もそれなりに
「ハハハ、正解! もっとも、この数を呼び寄せるには苦労させられましたがね」
窓のひとつも残っていない吹きさらしホール、その中央で
一方で、
「————……ダメだな。スケールが膨大、っつーことだけは理解できたが。魔術だの科学だの、根本にあるものがキテレツなだけに、理解するのが厳しい」
「……子どもね。諦める前に、もう少し考えてから——」
「俺ぁ感覚で掴みたい
「世間体ではおバカ、って言うわね。ああでも可能性はあるわ、天才と紙一重って
「ことここに来ても喧嘩腰かよ……。ヤ、もう性格がそうなっているんだろうけどもよ。もっとやんわり言葉の方がいいぞ」
ものの捉え方は、やはり個人差きわまる。
ディティールにまで
「永遠課題ですよ。そこにカマかけるぐらいなら、僕のささやかな取引に耳をかたむけた方が
「……そうね。解釈違いにかんしては、話し合いを重ねても無駄だもの」
「人類の課題を解釈違いのひとことで済ませるとは……。ハハっ、末恐ろしい」
細部まで考えるくせに、手に
游戯はそのきらいがあるらしい。
「待てぃ。取引もなにもじゃなぁ……業理、とやら。ソナタの目的を聞いておらん。なにをするにしても
「賛同。かくしごと多発の相手は信用不可。……せめてもの狙いを示してほしい」
業理のペースに持ち込まれる手前、
すると、業理がよけいに
「ハハハ、もともとの目的が見事、
「信用ならねェ」
「わかりみ。アナタをここで
「デスゲーム司会者にしか見えない。アンチ・デスゲーム。ユウギが言うなら、私も同じだから殺してもいい。いや殺したい」
「まずは自己がどれほど不信任の塊かを見つめなおせぃ。あと企みごとあるじゃろ」
全会一致もはなはだしい。
さしもの業理とて、
「こっちも切羽詰まっているんですがァ⁉︎ なんですか三○○人もいるのに、一人として建物を壊さずに話を聞いてくれる人がいないんですが⁉︎」
「
「うん。それぐらい普通。私も焼いたことある」
「だよな、運姫。エンド二○のお前は研究者に連れ去られて、総力戦で主人公らが助けに行くんだよな……。お前ひとりで研究施設まるごと
「うるさい。キモめ」
業理もろとも、雄魔も
しかし、だ。
「ぬぅう……まぁよい。話すだけ話せ。そもそも
「フフハ恩にきります。では————」
やや温情めいた促しを受け、本日の
そして、深めのポケット最奥部にあったソレをかかげた。
「雄魔さん、游戯さん。あなたら二人にはこのビデオカメラ内蔵発信機をつけていただきたのです」
「嫌だが? っつーかお前、大事なもの入っているポケットに鼻かんだティッシュ入れねェだろうが普通。よけいに
「粘着質ストーカーの真似事? というか別の意味合いで粘着質よね。きたな」
「お話をササッと進ませてくださいよッッッ‼︎」
合理性の
しょうがなく、しぶしぶ缶バッジぐらいのサイズを受け取ったふたり。
「
「ご安心を。ワイヤレス充電器としても機能しますよ、それ」
「
コンパクトを履き違えたサイズ感、かつベルトをしていなければズボンを下げていくほどの重量感。
「で? こんなものを手渡すんだもの。どんな訳アリかしら」
「はい。これからお二人のココロの変容、人間性のシフトぶりをモニタリングさせていただきます」
「は、ぁ……?」
二つ返事では理解できない単語。とりわけココロなどと、目にみえる形ではないもの。
「僕は本日、いわゆる
「まぁ、その……たしかに
「ゆえに新たなる
彼らにはその新鮮味がたりない。
微妙に嫌なたとえを
「たしかに出汁のとれない昆布はいらないな……。こう、いちおう感謝はするが、どうしたものかと
「おでんにぶちこめばイイ話よ」
「だけど、ビックリするような具材ではないでしょう? 昔馴染み、としか形容できない。そりゃあ
どうして昆布オンリーのお話になるのか。
すっかり味の整えられた鍋めがけ、出汁のない昆布をぶちこむ……
なるほど捉えようによっては、
「……ユウギ。お腹が鳴りかけそう」
「えぇっ? そう言われても……待って、アナタのように電子データから組み上げられた
「……。あのですね、游戯さん。カノジョらは予め用意しておいた素体に、基礎・応用データを流し込んだ存在だけじゃあないんですよ? どこか別のセカイで《こんな子いたなぁ》ってセカイが誤認して、同一視した結果の体なワケでして……、」
「要するにそっくりそのまま人間という生物が出来上がった、と考えるべきじゃ。
もはや、話の方角は転がりに転がった。
業理の目的やら、次元越えの方途やら、あたらしく人を降霊させたやら……
「————だぁああッまったく‼︎ 話の着地点が下手くそか⁉︎ 話下手か⁉︎」
「聞き捨てならないわね……? 誰もが皆、アナタのように感覚で生きているワケではないのよ。しっかり考えて、論議して、リテイクをして、世の中のことはだいたいプロセスをしっかり踏んで——、」
「しゃらくさい、んだよ。いいじゃねェか、俺とお前の目的はお互いの推しに振り向いてもらうってことに尽きるんだろうが! だったら、どんな厄介ごと吹っかけられても文句ゼロで
序破急もなんのその、
考えなしのむこうみず……、そう言いさして、游戯は口をひきむすんだ。
何故か? なにを根拠に? どれをキッカケに?
いつもならば即レスポンスで、ばっさり切り捨ててやるところだ。游戯の性質上、この手の考えついただけ理論は目に余るハズ。
「……フフン。さすがは余の見込んだ男、よな」
混乱におちいった游戯のよこがおをチラリ見て、
——そう口をまごつかせる折り合い、反論ゼロと受け取った雄魔が
「業理、お前は何を望んでるってんだ? ぽっと出同然の俺たちに」
「……。ちかくの地熱発電所に、
「そうか、ならお
自己完結。最小限がすぎる情報を
「っ、待ちなさいな! ただ情報提供どうも、って話の流れでしょう? 誰もそこに向かえだとか、何をしろだとか言っていないじゃない」
「何もしてほしくないなら言葉にしねェ。そして安心しろ、ぜんぜん待つぜ。だって運姫にも用があるんだからな、……お前も同伴確定だぜ!」
「は、ぁ……⁉︎」
ニカッと笑い、その後ろ姿はどこへ向かうやら進んでいく。ともない、パートナー
一方で、いまだ状況整理がすまない游戯・運姫ペア。品性たっぷりに足を揃えた座り方。ふたりは共に、女性らしい仕草に
パリついた豪放さが目立つ雄魔・白雪ペアとは、だいぶ
「……行くアテもないくせに、どうしたってこう……」
「男の子は一箇所に止まりませんからね。浮気性、と言われてしまえばオシマイですが」
「そういうアナタは、男性像にも女性像にもひっかからないわね」
「……性別なんてとうの昔に捨てましたので」
ニコリと表情をやわらげて、業理はみずからの指先をリップに押しあてる。
「気楽なものですよ。
「なによそれ。……神様でも気取っているのかしら?」
「——
どこまでも取りつく島のない
いつか誰ぞのスワッピング フー @steeleismybody
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。いつか誰ぞのスワッピングの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます