第445話 小悪魔に変身

 〈アコ〉は、軽やかな足取りで、階段を昇り始めた。

  僕は?マークのまま、付いて行くしかない。

  階段の途中で〈アコ〉は、僕へ振り返って言った。


 「〈タロ〉様、ここに階段がありますわ。この後宮で、私と最初の夜を過ごす時は、〈タロ〉様は必ず、階段で下着を覗(のぞ)くはずです」


 はぁー、〈アコ〉は何を言っているんだ。

 僕を、迷惑行為等防止条例違反者扱いするなよ。

 僕を、大きく勘違いしていると思う。


 でも、僕をずっと観察してきた結果、そう思ったのか。

 大きな声で、違うと言いたい。

 ただ、うーんと、抗弁出来ない部分も、大いにあるな。

 ほんのちょっと自覚もある。


 それに階段の中腹で、お尻をチョコンと突き出して、僕を見ながら小悪魔のように笑っている〈アコ〉がいる。

 あっ、今、唇を舌でペロッて舐めたぞ。


 僕はムクムクと元気になってしまう。

 とてもじゃないが、この〈アコ〉には抗(あらが)うことは、丸っくしり出来そうにない。


 ペロンとスカートをめくり上げ、〈アコ〉の真っ赤なショーツを、まじまじと見てしまった。

 迷惑行為等防止条例違反者の上を、いってしまったのだ。


 でも、僕は何にも悪くない。

 悪いのは、小悪魔に変身した〈アコ〉だ。

 悪魔ちゃんの可愛い黒い尻尾を、探求しようとしただけなんだよ。

 でも、丸いお尻に、尻尾は発見出来なかった。一筋の割れ目が、認められただけだ。


 「ふふふ、覗くだけじゃ、済まなかったのですね。そんなに、私のお尻が欲しいのですか」


 「うん。〈アコ〉のお尻が欲しいよ。一杯欲しいんだ」


 僕は〈アコ〉のお尻をさすりながら、熱に浮かされたように言った。


 「ふふふ、でもここではダメですわ。二階へ行きましょう」


 〈アコ〉は、サッとスカートを直して、階段を昇って行ってしまう。

 あぁ、お尻が。お尻が行ってしまった。


 「ここは、メイドの控室ですわ。〈タロ〉様、メイドに手を出したら、許しませんよ。私からのお願いです」


 〈アコ〉は、メイドのように、深々と僕にお辞儀をしてきた。

 胸元はいつのまにか大きく開いて、おっぱいが零れ落ちそうに覗いているぞ。

 僕は間髪入れず、胸元から手を突っ込んで、メロンおっぱいをムニュと触った。

 無意識にスキルを使ったと思うほどの、瞬間的な行動だ。


 「あっ、あん、〈タロ〉様は、何て素早いのでしょう。速攻で、メイドに手を出しましたね」


 「えっ、〈アコ〉はメイドじゃないよ。正妻じゃないか」


 「でもここは、メイドの控室ですので、今の私はメイドですわ。〈タロ〉様、この部屋は出禁にしました。これが一生で、唯一の入室ですからね。メイドがご所望なら、私がなってさしあげますわ」


 おぉ、願ってもない話だ。今、言質(げんち)を取ったぞ。

 必ずや、メイド服を着て貰うぞ。胸が入らないと泣いても、許しはしないと誓おう。


 「うん。メイドに、なってください」


 「ふふふ、楽しみに待っていてね」


 二階の後の部屋は、三部屋とも将来の子供部屋だ。

 三人も、孕(はら)ませることが出来るかな。精一杯、頑張ります。


 「〈タロ〉様、お休みのキスをしてあげますわ」


 〈アコ〉は、三部屋ともで、僕にキスをしてきた。

 初めて自分から、キスをしてきたんだ。

 僕の頬を両手で挟んで、優しく「ちゅっ」って感じだった。

 頭まで撫(な)ぜるから、母親になったつもりなんだろう。


 それなら、おっぱいも吸わせろよ。


 「〈タロ〉様、この部屋では、お乳はもう卒業ですわ。一人寝が出来る、年齢になっているでしょう」


 〈アコ〉は、おっぱいに伸ばした僕の手を、「パシン」と叩いて、階段を降りて行く。

 結構怖いママだな。体罰はいけないよ。


 二階には、物置もあるのだが、そこはスルーらしい。

 物置に〈アコ〉は、未練が何もないようだ。それはそうか。


 一階の間取りは、夫婦の寝室に、キッチンに、リビングだ。

 トイレとお風呂も、完備している。


 ただ、今は家具が何もないので、ガランとした空間が広がっているだけだ。


 「ここは、お台所ですわ。ちょっとした夜食を作りますね」


 〈アコ〉は鞄から、お皿と包み紙とエプロンを取り出した。


 「〈タロ〉様、背中のヒモを結んでください。蝶々結びですよ」


 僕は、フラフラと近づいて、エプロンのヒモを結んだ。

 ピンク色で、周りを白いレースで縁取った、甘~いエプロンだ。

 〈アコ〉の身体からも、甘~い匂いが漏れ出しているぞ。


 これは、本格的な新婚ごっこに、突入したんだろうか。

 少しクラクラしてくるな。一か所に血が集まり過ぎた、副作用だろう。


 〈アコ〉はお皿の上に、クラッカーみたいなのを並べて、カナッペを作っているようだ。

 チーズと生ハムとトマトを、乗せてくれている。


 「〈タロ〉様、お待たせしました。食べますか」


 「はい。食べま~す」


 僕は、エプロンの隙間に手を入れて、特大のメロンを頂くことにしました。

 5Ⅼサイズの特級だと思います。

 服の上からでも、熟しているのが分かるほど、柔らかなのです。


 「んん、もう。〈タロ〉様は、中年のおじさんですか。私を美味しく食べたいなんて、使い古された言葉を、まさか言いませんよね」


 えぇー、図星(ずぼし)だ。〈アコ〉は、接触テレパスなのか。

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