4-10 王国破壊!

「なかなか良い場所がないね。」

「むー…、これでは欲求不満になってしまいます。

 かくなる上は、今晩、全員でカズしゃまに襲いましょうか。」

「それしかないようですね。魔王…まどかさん、今晩は5人ですがよろしいですか?」

「ん~。あたしは良いよ。

 みんなでエッチい事しよっか!」


いかん…。腹上死確定になってしまう…。

どこかに良い場所を探さないと…。

うわ!前方に王都らしいものが見えてきちゃったよ…。

右手に山、左手も山…。間は街道…。どうすりゃいいんだよ。

あ!前方に池発見!

この池であれば、問題は無いだろう。


「ブレイクさん、左前方にある池に向かってブレス撃って良いよ。」

「え?ブレス?夜は?」

「あの…、善処します…。」

「仕方ないなぁ…、んじゃ、先ずは私ね!」


 ブレイクさんがブレスというか、火の玉を撃った。

火の玉は池に吸い込まれ、一瞬光った後、水蒸気が上がった。


「良かった。爆発しなかったね。」

「10分の1ですから。それでも、池は完全に干上がっちゃいましたね。」

「まぁ、干上がるくらいならいっか。

 それじゃ、次はマデリーンさんがあの山すその荒れ地に撃ってね。

植物も生えてないようだから、大丈夫だと思うけど。」

「はい!いきますよ~!」


マデリーンさんが水球を撃つ。

荒れ地に水柱が立ち、大きな湖が出来た。


「うわ!マデリーンさんのブレスも凄いね。

 いきなり湖ができちゃったよ。」

「これでも10分の1です。もう少し強ければ山に穴も開けることもできるんですが…。」

「いや、これで十分だよ。」

「次は、ナタリーさんだね。

 ナタリーさんのブレスは土属性だから、そうだな…。

 あの川の曲がってるところに撃ちこもうか?」

「はーい!それじゃ、行きますよ~!」


 川が曲がっている部分に土属性のブレスを撃ちこむ。

ありゃ、川の流れが変わっちゃったよ。


「あ、ヤバい。川の流れ変えちゃったね。」

「それくらい問題ないですよ。」

「それじゃ、最後はニーナさんね。

 ニーナさんは雷だよね。であれば、あそこの岩がゴロゴロしている場所に撃ってみようか。」

「結構広いですけど、私だけあんな広範囲に撃っても良いのですか?」

「あ、広ければそれだけブレスの力も必要だってことだね。

 それじゃ、ブレイクさん、マデリーンさん、ナタリーさんもあの場所にブレス撃ちこんじゃって良いよ。」

「やったぁ!」


ニーナさんがブレスを放つと、岩が粉々になった。

続いてブレイクさん、マデリーンさん、最後にナタリーさんが次々をブレスを撃ちこんだ後、荒れ地が黒々とし、水蒸気を上げている。


「まぁ、こんなものかな?

 みんな、スッキリした?」

「カズしゃま、まぁまぁですね。」

「よかったね。これで今晩5人というのは…。」

「あ、ダーリンだめだよ。

 あたしが満足してないもん!」

「へ?まどかさんもブレス撃てるの?」

「あたしは魔法だよ。

 もう、ダーリンは!今日は絶対に寝かさないからね。」


すべてが王国の出方次第だ。

王都に近づく。地上に居るヒトのが上空を見て何やら言ってる。

王都の城壁に着いた。

城壁には大勢の兵士が弓などを持ってるけど、ここまで来てるんだから、矢をつがえるくらいはしておかないとダメじゃんか。

四龍さんたちが城壁から少し離れた位置でホバリングしてくれた。


「王都の者に告ぐ。

 我ら、魔国の代表と四龍である。

 この国の王にお目通り願う。」


 少し格好よく言ってみた。

さて、どう出るかだ。


「魔国の代表とやら、何をしに来た?」

「王とその血族に話がある。」

「我らは魔国らと話す必要も内容も無い。早々に立ち去れい。」

「それで良いのか?

 我らを愚弄するというのだな?

 お主らと話していてもらちがあかん。よって、ここを押し通らせてもらう!」


小声でまどかさんに尋ねる。


「あんな事言ってるから、入って行くね。

 それと、都を守る防護壁とかは張ってあるの?」

「ん?そんなもの無いよ。」


 え?普通というか、ファンタジーものであれば、都を守るのは障壁というか結界みたいなものを張っておくもんでしょ?

何も無いなんて、なんか消化不良になるよね。


「じゃ、四龍さんの咆哮であそこに居る兵士さん達をびっくりさせる事はできる?」

「ん?四龍さんに咆哮してもらうの?

 多分、みんな鼓膜敗れちゃうよ。」

「それじゃ、まどかさんの魔法で、あの兵士たちを静かにさせることはできる?」

「任せておいて!

 石化、麻痺化、昏睡状態、ダーリンはどれが御望みかな?」

「それじゃ、麻痺化で。」


 まどかさんが、ニーナさんの背中で立ち上がり、大きな声で叫ぶ。


「それじゃぁ!いっくよ~!『パラライズ!』」


何か凄い衝撃波が王都を襲い、王都全体が静寂に包まれた。


「まどかさん…。もしかして…。」

「久しぶりだったから、王都全体にかけちゃった…、てへ。」


まどかさん、四龍さんと一緒に悠々と王都の上を飛び、城にやって来る。

城の中庭に降り、四龍さんがヒトの姿に戻る。

うん。誰にも言わないよ。ヒトの姿になった後、みんなが着替えてることなんて…。


「ちびドラちゃん達、もう大丈夫だから出てきていいよ。」


 俺の服の中に入って寝ていたちびドラちゃん達が俺の周りで飛び始める。

7人で城の中に入って行く。

えと…、王様がいるのは何処だ?


「レイン、すまないけど、王様が居る部屋ってどこ?」

「謁見の間か、居室か…ですが、もしかすると馬車の中かもしれませんね。」

「馬車の中?」

「ええ、王都から逃げるために。」

「そんな王様、あかんやん…。まぁいいや。謁見の間から見て行こうか。

 先行して案内してもらっても良いかい?」

「はい。お任せください。」


 レインさん、ヒトん家というか城の中でよく迷子にならないね。

サクサクと進んでいくよ。

聞けば、城なんてのは同じような間取りになっているので、比較的分かりやすいんだとか…。

俺には分からん。もう一度来いといわれても、確実に迷子になるな。


「カズ様、ここが謁見の間となっております。」

「うん。ありがと。んじゃ入りましょうか?」

「お邪魔しまーす!」


 3メートルほどある木製の扉を開けると、そこは何十人ものヒトが口から泡吹いて倒れていた。


「まどかさんの魔法って、凄いんだね。」

「ちょっと強すぎたかな、くらいしか思っていないんだけど、このヒト達ってどれだけ弱っちいの?」

「いや…、まどかさんの魔法が強いだけなんじゃ…。」


赤い毛氈が中央に敷かれ、その毛氈の横に20人ほどが泡吹いて倒れている。

毛氈の向こうには王座なんだろうね、そこに座りながら老人が、その横に女性が痙攣しながら倒れている。あ、こいつ召喚の時に会った女だ。


「ソフィちゃん、この広間だけ麻痺を解除できるかな?」


 うん。ソフィちゃんは治癒師として優秀だね。

ものの見事に、全員を麻痺から解除したよ。


「ダーリン。あたしの魔法も凄いんだけど…。

 あ、麻痺はあと2時間くらいで消えるからね。ね!凄いでしょ!」

「うん。凄いね。タイマー機能付の麻痺なんだ。」

「そうそう。」


 まどかさんの機嫌も直り、ようやく王様らしき人と話をすることにした。


「で、あなたがリルクア王国の王様という事でよろしいですか?」

「いかにも。で、そちは誰じゃ。」

「私は、王様の横に立っておられる方が召喚した際に不要だと言われて自由の身になったシメと申します。

 そして、この横におられるのは、マドゥーカ様です。」

「マドゥーカじゃと?そんな名は聞いた事はないの。」

「では、魔王様と呼べばよろしいですか?」

「な…魔王だと…。」


横に連なる奴らが何やら騒ぎ始める。

あーーーー、なんか煩い。


「イリスちゃん、あの大声で喚いている男の足元にブレス吐いてもらっていいかい?」


キュイー!


 イリスちゃんの攻撃!

喧しい男の靴を焼いた。男はチビッた…。


「うん。イリスちゃん良く出来ました。」


イリスちゃんを撫でると、他のちびドラちゃんズも負けじと喚く男どもの足元にブレスを吐き、チビらせた。


「で、王様、横の奴らが煩いから、黙らせてもらえませんか。」

「わ、分かった…。

 皆の者、黙れ!シメという者の話を聞け。」


王様、グッドジョブ!

だけど、ブレスも当ててないのに、なんでチビってるの?

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