第10話 【潤滑油】
ロボ「なんだかのどかデスねえ」
少女「そうね、風も爽やかだし」
少女「ピクニック日和だわ」
ギシィ
ロボ「!?」
少女「て、敵襲!?」
ロボ「どこに敵なんかいるんデスか」
少女「索敵しなさいよ! レーダーで!!」
ロボ「いえ、周りになにも怪しげなものは……」
ギギギィィィイ
少女「ぎゃあああ!! なんの音!? 敵!?」
ロボ「ワタシの関節が錆びついた音でした」
少女「!! 紛らわしいのよ!!」
ロボ「こんな音が鳴るんデスね、ワタシ」
ギシギシィイ
少女「いやっ! 耳障り!」
ロボ「油をささないといけませんね」
少女「そうね、でも油なんかあったっけ?」
ロボ「あの、ご主人、それは」
少女「ん? 油」
ロボ「いえそれ、ゴマ油デスよね? いつも持ち歩いている調味料セットの」
少女「油には違いないでしょ?」
ロボ「ワタシ、常に中華っぽい香ばしいにおいを漂わせることになりマスよ」
少女「ああそれ、ある意味、拷問かも」
ロボ「デスのでお勧めしませんが……」
少女「まあまあ、物は試しってことで」
ヌルリン
少女「どう?」
ロボ「なんだかムズムズしマス」
ゴリゴリ
少女「音も微妙」
ロボ「なんだか余計に噛み合わせが悪くなった気がしマス」
ギチギチチチ
少女「ちゃんとしたの、探すか」
ロボ「あの、その前にこのゴマ油をふき取ってクダサイ」
少女「ポンコ、この辺で車用品かロボット用品を調達できる場所を検索して」
ロボ「あの、その前にこのゴマ油を」
少女「中華が食べたくなったなあ」
ロボ「完全にゴマ油のせいデスね」
少女「缶詰適当に開けて、ゴマ油で炒めてみよっか」
ロボ「そうデスねえ、ご主人のお好きなように」
少女「なによ、返事が適当じゃない?」
ロボ「ワタシ、ゴマ油の匂いで悪酔いしてきました」
少女「え、ロボットって酔うの!?」
少女「いやその前にゴマ油の匂いで酔うことってあるの!?」
少女「え、ていうかあんた匂い感知機能あるの!?」
ロボ「全部YESデスね」
少女「ツッコミが追い付かんわ!!」
ガチャガチャ
少女「あ、これ、使えそうなグリス」
ロボ「いいデスね」
ロボ「これならしばらく持ちそうデスし」
少女「あと古いタオルとか手ぬぐいも欲しいよね」
ガサガサ
ロボ「新しい方が良いのでは?」
少女「古い方が、あんたの体の汚れをうまく取れるのよ」
ロボ「なるほど……」
キュッキュッ
少女「ふう」
ロボ「すみません、ご主人」
少女「なにが?」
ロボ「メンテナンスをしていただいて」
キュッキュッ
少女「いいのよ、楽しいから」
ロボ「申し訳ないので、今度ワタシがご主人の体を洗いマスよ」
少女「いやそれはいい」
ロボ「遠慮しなくていいデスよ」カチャカチャ
少女「あんたの腕、痛そうだからマジでいい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます