椚さんのケーキ

「ただいまー。」


三人が、帰ってきた。


「くぬりんの、チョコレートケーキ食べれる。」


華君が、喜んでる。


「僕も、見てくるね」


星も椚さんと華君の所に行った。


「兄貴、椚さんの事少しは考えてやってよ。」


晴海君が、美咲さんに話す。


「何か言ってたの?」


「ずっと、兄貴の話ばっかりしてたよ。兄貴のここが好きだとか、初めて男の人を好きになったのが兄貴なんだって!後、付き合ったのは一人だけだって、高校生の頃。で、兄貴の店の写真を見て働きたいと思ってきたんだって。」


「何の話をしてるんだよ?」


「華が、色々聞くからだよ」


晴海君は、頭を掻いた。


「でも、椚さんは本当に兄貴が好きだよ。弟だけど、あんなに兄貴を好きって言ってくれたら嬉しいよ」


「椚の作戦だろ?それ」


そう言って、ワインを飲んでる。


「クリスマスケーキ作ってくれたのって椚さんですか?」


「そうそう、ブッシュ・ド・ノエル。星君の時な!椚の作るケーキやデザートは、絶品だから」


「やっぱり、そうだったんですね。」


「椚の作るスイーツは、優しくて幸せになれるんだよ。俺は、好き。だから、椚を雇った。」


「華が、大好きなんだよな。椚さんのチョコレートケーキ。」


「そうだな。大好きだな。」


キッチンにいる三人を美咲さんが見つめてる。


楽しそうに作ってる。


「俺も見てこよう」


晴海君もキッチンに行った。


「月君、愛される方が幸せなのかな?」


「どうでしょうか?」


「月君は、どう思う?」


「俺なら、愛される方を選びたいですね。愛するって正直辛い事の方が多いです。」


「そうだよね。」


俺は、ワインを美咲さんのグラスと自分のグラスに注いだ。


「明日仕事休もうって思ったんだけどね。椚と話してたら、仕事行けるなって思えてきた。気づいてなかっただけで、椚の素直な所にいつも救われていたのかもしれないね」


「それは、あるかもしれないですよ。」


「ごめんね。しーちゃんの事で、振り回してしまって」


「全然、大丈夫ですよ。」


星が戻ってきた。


「テーブル片付けるね。月、パスタ食べる」


「食べる。ケーキもうすぐできる?」


「うん。美味しそうだよ」


「サラダ、俺食べるよ」


そう言って食べる。


「椚さんケーキ作るとき、美咲さんの事考えて作るんだって。すごく嬉しそうに生地混ぜてた。」


「そうなの、このお皿重ねていい?」


「はい」


「俺も、食べたから重ねるよ」


「はい、ちょうだい。」


星が、お皿を持っていく。


「二人が寝たら、やっぱり話してみるよ」


「そうですね」


ケーキが、できたみたいで持ってきてくれた。


「一番最初に食べるのは、美咲さんですよ」


椚さんは、ニコニコ笑ってる。


人数分のお皿にチョコレートケーキををいれて持ってきてくれた。


「いただきます」


美咲さんの隣に椚さんは座った。


「安定の美味しさだよ。」


そう言われて喜んでる。


「このワインに合うように、ダークチョコ多めにしたのわかります?」


「わかるよ」


「やっぱり、美咲さんすごいですね。」


「中がトロッと感、多めにしてるよな」


「わざとですよ」


そう言いながら、食べてる。


「もう、くぬりんのケーキ本当大好き」


華君も喜んで、食べてる。


「美味しいです。」


「ありがとう、喜んでもらえて嬉しい」


そう言って椚さんは、凄く嬉しそうだ。


それから、俺達はとにかく飲みまくった。


美咲さんだけが、セーブしてるように見えた。


「もう、寝る」


「華君、歯磨いて、俺の部屋で休もうか」


「うん」


「じゃあ、俺も寝るわ」


華君と晴海君を洗面所に連れてきた。


「使い捨ての歯ブラシ、こないだ買ったやつ」


「ありがとう」


「兄貴、よろしくね。」


「うん、わかってる」


二人は、歯を磨いた。


「ベッド、星の方にどっちか行く?」


「俺達、別に一緒に寝れるから気にしないで」


「そうそう」


そう言って二人は、俺のベッドに横になった。


「じゃあ、おやすみ」


「おやすみ」


俺は、扉を閉めた。



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