第33話 ピンクの車 ②
ピンクの車を購入して2年目のことです。
ちょうどお盆で、私は実家にいました。
長男家族も来ていました。
娘が専門学校を出て就職をした年だったと思いますが、実家に帰省しており、車を貸して欲しいというので貸しました。
ところが駐車場から脇道に出る時に、脇道の左端にある排水溝にタイヤを落としてしまったと言ってすぐに戻ってきました。
長男と外に出て駐車場(我が家の駐車場は家から少し離れたところにある)まで行ってみると、確かに左側の後輪が溝にはまっていました。
駐車場と脇道の間は排水溝が通っていて溝の上に排水溝の蓋がしてあります。
脇道に出るため左折した時に排水溝の蓋がしてあるところのギリギリを通った為に左の後輪だけ蓋のないところを通ってしまい溝に落ちてしまったようです。
私はその時、孫(長男の子)を抱いていたので、長男が一人で車の後ろを持ち上げました。
すると、ふわっと持ち上がってそのまま下り坂になっている道を動き出しました。
長男や娘が慌てて追っかけても、どんどん進んでいきます。
私も走りましたが、慌てていたので転んでしまいました。
孫を抱いていた私はとっさに孫の身体は守りましたが、転んだままどうすることも出来ず、ただ唖然として車の行方を見守るばかりです。
脇道の右側は傾斜になって山からの水が流れる谷川になっています。
脇道と谷川の間にはガードレールのようなものはありません。
車はやがて脇道の右側にある傾斜をゆっくり下って谷底へと落ちていきました。
私達は成す術もなく只、車の行方を見守っていました。
スローモーションの映画を見ているようでした。
谷底に落ちてやっと車は止まりました。
ショックと安堵で言葉が出ません。
実は私は谷底に落ちてくれたことにホッとしてました。
なぜなら、この下りの脇道をそのまま進むと30m先は国道に続いていたからです。
この国道には頻繁に車が往来してます。
国道まで進んでいたら他の車も巻き込んで大惨事になっているところでした。
それを思うと谷底に落ちてくれた方がまだましでした。
長男曰く、車の後ろを思い切り持ち上げたら、意外にふわっと持ち上がり動き始めたというのです。
まさか、そんなに簡単に車が持ち上がり動き出すとは思わなかったようです。
おそらく、娘が溝に落ちて慌てて車から降りたため、パーキングギアにしていなかったのでしょう。
更に下り坂だったので、歯止めがきかなかったのです。
私はショックを受けながらも、あえて冷静に
「まぁ、起きてしまったことはもうどうしようもないことなので、誰も怪我が無くて良かったじゃない」と言うと、長男が私を見て
「どうしたん?」と、驚いた顔をします。
見ると私の両腕から血が流れて血だらけになっていました。
あまりにも衝撃なことが目の前で起きたので、自分が転んで怪我をしていることにも気づいていませんでした。
幸い、抱いていた孫は無傷だったので良かったです。
その後は保険会社に連絡してレッカー車を呼んでもらったりで大変でした。
私の腕の傷も結構酷くて病院に行って治療してもらいました。
何の因果かピンクの車は2年目にして廃車となってしまいました。合掌🙏
あぁ~、なんてこった!
これを機会に、保険の見直しをして車両の補償も追加しました。
後にも先にもこんな災難が続く車はありませんでした。
呪われた(?)ピンクの車にまつわる本当にあったお話です。
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