第797話 「正式承認」されたけど…。

塩野義製薬の「ゾコーパ」が、特別承認から正式承認となったらしい。COVID-19に対する内服の抗ウイルス薬はこれですべて、正式承認となった。これまではゾコーパの処方の際には、「承諾書」をもらう必要があったため、その手間がなくなったのは、よかったのだろう。


ただ、COVID-19に対して、何らかの公的負担が行なわれるのは、今月末までである。


内服でのCOVID-19抗ウイルス薬は「パキロビットパック」、「ラゲブリオ」、そして今回の「ゾコーパ」の3種類であるが、昨年3月末までは、抗ウイルス薬は全額公費負担となっていた。昨年の4月からは最大で抗ウイルス薬の個人負担額は9000円とされていた。抗ウイルス薬5日分で、9000円(保険診療での自己負担額)なので、それだけでも割高な印象がある。ところが、公費負担が全くなくなるとどうなるか。ゾコーパは1錠が約7400円の薬である。一回の治療でかかる金額は約5万2000円。3割負担で1万6000円ほど、抗ウイルス薬でかかるわけである。パキロビットパックなら1回の治療で薬代が約9万9000円、10万円と近似して計算すると薬代だけで3万円以上かかるわけである。


その一方で、COVID-19は、比較的後遺症は多いものの、「健康成人」が罹患した場合には、多数の方が、対症療法薬で乗り越えられるものとなった。


さて、4月からCOVID-19の公費負担が無くなるため、抗ウイルス薬がこのような価格になるわけである。抗ウイルス薬を使うかどうか、少なくとも思ったほど使用量は増えないだろうと思う。


ゾコーパ、頑張って製薬したけど、塩野義製薬に、開発費を回収し、さらに会社を潤すほどの売り上げが上がるだろうか?


難しいところである。

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