2024年 3月

第791話 岸田首相、思った以上に策士だな。

当方は先日、確定申告を終わらせた。社会人となってからは、毎年毎年、納税額に「グハッ!」と血を吐くようなダメージを受け、ヒーヒー言いながら確定申告用紙を作成(持病で通院中のため、うまくいけば医療費控除を受けられる)している。憲法で国民の義務として、「労働」「納税」「子どもに教育を受けさせる」の3つが課せられているので仕方がないと割り切らざるを得ない。その一方で、いわゆる「裏金」を持っている政治家は「これは政治資金です」といえば非課税になるのはうらやましいというべきか、卑怯というべきか、モヤモヤするこの頃である。


政治倫理審査会を開き、いわゆる「裏金」問題を追及する、という話が出たときに、当該議員の一部が「非公開なら応じる」と反応した。忘れてはいけないのは、大多数の議員は、「政治倫理審査会」には応じない、としていることである。「非公開なら応じる」というのは、残念ながら、はるかにましな回答であった。


とはいえ、当然「非公開で」となれば紛糾するのも明らかであった。


岸田首相が「策士」だと思ったのは、まず自らが「公開」で政治倫理審査会に応じる、と動いたことである。一つは、自身が「公開」で応じる、となれば他の自民党議員が「非公開で」とは言えなくなったことである。その一方で、政治倫理審査会での発言には「偽証罪」は適応されない。なので、公開の政治倫理委員会で、いつも通りの答弁を行なえばよい、と踏んだのだろう。


大山鳴動して鼠一匹、どころか何も新しいことは明らかにならなかった。参加した議員が、首相も含め6人、のらりくらりと「逃げ」の答弁に終始したわけである。


これでも野党側には、ダメージである。これまで声高に叫んでいた「『非公開』は卑怯だ」という論理が使えなくなったからである。野党にとっては、有効な攻撃点の一つを完全につぶされたわけだ。


策士でなければ「首相」は務まらないのだろう。首相自らが「公開」で政治倫理審査会を受ける、というニュースを聞いたときには少し私の中で、氏の株は上がったのだが、終わってみれば、これまでの答弁の繰り返しだけであった。


野党の攻撃の糸口を、身を張って潰した、という点で、氏は策士だなぁ、と思った次第である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る