第788話 政治資金からは税金を取らない。カツカツの人繰りをしている病院からは金を回収する

ソースはSTVニュース北海道。Yahooニュースより


<以下引用>

白老町は21日、町立国保病院の診療報酬においておよそ1億2600万円の過大受給があったことを明らかにしました。 町は、全額返還する方針です。


白老町によりますと町立国保病院の夜間の看護師配置について、2021年11月から2023年9月までに受け取った診療報酬のうち、1億2586万円を過大受給していたということです。


去年10月に北海道厚生局が立入調査した際に、受給基準を満たしていないと指摘を受けて判明しました。


(大塩 英男 白老町長)「町立病院においては昨年来より不適切な事務処理が発覚するなど町民の皆さまの信頼を損なう事態が続いていることに対して私自身責任を痛感しております」


病院では夜間には看護師2人を病棟に配置することになっていましたが、うち1人は救急外来の業務で病棟を不在にすることが常態化していたということです。


町は、過大受給していた診療報酬を保険機関や個人に全額返還する方針です。


<引用ここまで>


病院、病棟には非常に細かな区分があり、その区分によって入院基本料など、いただける金額が変わってくる、という制度になっている。


その一方で、医療、介護に従事する人の人員不足はごく一部の都市部を除いて極めて深刻であり、人のやりくりに殆どの医療機関が四苦八苦しているのが、日本の医療の現状である。


単純に「制度」を考えると、町立病院は「過大請求」をしていたことになる。ただ、おそらく実情に即した区分に変更すると、おそらく病院を維持できないレベルの収入しか得られなかったのでは、と思われる。


おそらく制度を申請した際には、基準を充足できていたのだろうと推測する。しかし、日本のほとんどの地域が「高齢化、かつ医療従事者の不足」に悩んでいるわけである。町立病院は、看護師不足を補充しようと頑張ったのだろうと推測する。ただ、どうしても補充ができない状態が続いたのだろう。それでも、救急患者さんが搬送されれば、受け入れざるを得ない。この病院が、この地域の「命の砦」だからである。


病院経営は、真っ当な医療を行なっていれば、儲かることはほとんどない。特に、この町立病院のような規模、あるいは、白老町にもう一つある19床の病院、このサイズの収益率が最も悪い。収支トントンなら万万歳。おそらく、それなりの赤字であったと思われる。今回報道された過大請求とされる診療報酬で、おそらくその状態だろう。現状に合った区分に変えるなら、病院の維持が困難になるほど真っ赤っかになるだろうと思われる。


なので、1億円以上の返金は、町の運営や病院の運営に対してとんでもないダメージになるだろうと思う。


ルールは「ルール」なので致し方ない、とは思うものの、この町立病院がおそらくこの町の命の砦だと思われる。この病院で「手に負えない」となると、さらに規模の大きな病院に転送となるが、おそらく救急車で1時間、とか、それくらいの時間がかかるだろう。日中ならドクターヘリを有する病院に助けてもらえるかもしれないが、夜間はドクターヘリを飛ばせないので、夜間の重症患者さんは、お手上げである。僻地の医療は、都会に住む人間の受けることのできる医療とは、現実として大きな格差があるのはしょうがない。


嫌な言い方をすれば、「厚生局」から「返金」といわれれば、「返金」するか「病院お取り潰し」である。地域の人たちの命綱を潰すわけにはいかない。町も苦渋の選択だろうと思う。


翻って、昨今の政治資金問題。年に何億円と使っても、「政治資金」といえば、納税も、使途も関係がなさそうである。


白老町からは、住民の「血税」から1億円以上を支出するわけである。あこぎな金儲けのためではない。人が足りない、収入も足りない、でも病院を潰すわけにはいかない、そのような思いで血のにじむ思いをして頑張ってきたゆえである。


病院の収支を考えれば、「救急患者の受け入れ」と「入院病棟の維持」を止めてしまえばよいのである。それらを行なわない、いわゆる「開業医」さんは平均すると「儲かっている」だろう。つまりそういうことである。


年に何億円も「税金のかからない、使途もぼんやりと公開すればよい」お金を一人で使う政治家がいる。病院の維持のために、スタッフはこれまで以上に働き、従前の医療体制のままで診療報酬を請求し、過大請求と断じられた町と病院がある。


何となく、モヤモヤするものが心を往来するのである。

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