第382話 分かるものだなぁ。

今週、マイカーを車検に出した。いつもメンテナンスは車を購入したディーラーでお願いしている。車検には数日かかるのだが、通勤に車を使っているので、車検の期間中、代車をお願いしていた。


車検を予約した時は、「代車は多分、軽自動車の商用車になると思います」と言われていた。車検期間中は、特に家族で遠出をする予定もなく、ほぼ通勤に使うだけなので、雨漏りがせず、まともに走って、曲がって、止まってくれれば言うことはない。それに、通勤に使う道路は狭い道を通るので、でかい車よりも軽自動車の方がありがたい。


などと思っていたら、用意してくださった代車は、マイカーと同じ排気量の小型普通自動車だった。グレードは最も低いものであるが、総走行距離が3000km程度とほぼほぼ新車である。仮に車を買い替えるなら、この車かなぁ、と思っていたので、その車を用意してくださったのはありがたかった。


私が運転免許を取ったころは、カーナビゲーションの黎明期で、新車で車を購入しようとすると、最低グレードにはシンプルなカーラジオがついていた。ところが、今ではほとんどの人がカーナビをつけるので、悲しいことに最低グレードにはカーラジオさえつかなくなってしまった。私が運転しているときは、基本的にはラジオを流しているので、しーんとした車内はちょっと切ないし、何かが起きても情報がない。そんなわけで、ポケットラジオを車に乗せ、5日間ほど代車を使わせてもらった。


昔は無くて当たり前だったのだが、今ではバックモニタや側面のモニタがついており、もちろん私の車にもついている。ところが代車は最低グレードでラジオさえついていないものなので、そのような便利なものがついていない。これは思った以上に不便だった。というか、私がそれだけ「便利な機能」に頼った運転をしていた、ということであった。


駐車場に車を止めるときは、少しドアを開け、白線と後方の車輪止め、後輪の位置を目視しながら慎重に車を操作する。自宅では、隣家との境となるフェンスギリギリに車を寄せて、自転車が通れる隙間(車の奥に自転車を止めているので)を作るのだが、左のドアミラーだけで、不慣れな車体を数cmまで寄せていかなければならない。借りものなので傷つけるわけにもいかず、マイカーより少し車幅があるので、フェンスとのギリギリレベルは死守しなければならず、結構気を使った。


とはいえ、代車は「走り」に定評のある車であり、車を走らせることそのものは楽しかった。新車だったこともあるのか、非常にスムーズな走りだった。車体の形状(断面)が、私のこれまでのマイカー(2台)が箱型だったのが、代車ではいわゆる普通の「下膨れ」の形態だった。なので道幅ギリギリの運転をするときには少し気を使ったが、とても楽しく運転ができた。おそらくディーラーも、「新車の良さ」を「代車」として貸し出すときに感じさせることで、買い替えを促進する手段の一つなのだろう。


そんなわけで、数日の代車生活を送り、車検が終わって、マイカーが帰ってきた。車に傷つけることなく、ガソリンも満タンにして代車を返却できた。


自分の車を運転して、まず最初に感じたことは「あれっ?重たっ!」ということだった。代車が「新車」だったためスムーズに走ったのに対して、7年落ちのマイカーはどうしても車検直後とはいえ、それなりに経年劣化もしているはずである。そういったところが「重さ」として感じたのだろうか?


あるいは、代車は最低グレードで、ハイブリッドではなく、ガソリンエンジンのみの車だったのに対して、私の車はマイルドハイブリットで、システムや電池の分、重たくなっているのかもしれない。なので実際に「重い」のかもしれない。


そんなことを考えながら、今日は自分の車で出勤した。慣れてしまうと、もともと長年乗っていた車であり、あまり気にはならなくなった。


先ほど、ネットで「車重」を調べてみた。「代車」は880kg、「マイカー」は1200kgだった。何だ、本当に代車の方が軽くて、マイカーの方が重かったのだ。


結構、自分の感覚って正確だなぁ、と思った次第である。

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