第358話 お風呂に塩素を入れない。飲用水に塩素を入れる。

全く別の施設であるが、どちらも困ったものである。


福岡県の老舗旅館で、お風呂のお湯の入れ替えが年に2回、塩素の適切な投入もなく、基準の3700倍のレジオネラ菌が検出された、とのニュースが流れた。明確なソースは不明だが、レジオネラ肺炎を発症した人から辿っていくと、その温泉にたどり着き、そこで事実が発覚したらしい。


本日旅館の社長が記者会見をするとのことだが、残念ながら聞こうとも思わない。あまりにもいい加減である。完全かけ流しではなく、かけ流し+循環でお湯を管理していたらしいが、お湯やプールの水の循環清浄装置、適切に使えば非常にきれいなお湯/お水を保てる機械だそうだ。ただ、メインテナンスをしっかりしなければ、せっかくの機械も役に立たない。レジオネラ菌が基準の3700倍という事は、循環清浄装置もまともに動いていない、機械をメインテナンスしていなかったことを示している。


25年ほど前、24時間いつでもお風呂に入ることができる家庭用装置が販売されていたことがあった。確かあの機械も半年に1回のメインテナンスが必要だったと記憶している。


自分たちの商売の根っこである「温泉」をそのようにいい加減に扱っていたようでは、他のことについてもあまり信用できない。保健所からおそらく何らかの処分が下されるとは思うが、自分のところの「大切な温泉」を大切にできないのなら、「廃業」処分が下されても文句は言えないだろう。


大阪のビジネスホテルで、次亜塩素酸ナトリウム(ハイターですな)入りの水を誤ってお客さんに提供し、数名が病院に運ばれた、というニュースを聞いた。ホテルの発表では、「原因は現在調査中」とのこと。匂ってみればすぐわかるのだろうが、どちらも無色で、仮に同じ容器に入っていたら、取り違えるのも無理はない。しっかりした調査が必要だろうと思う。


塩素を入れて消毒すべき温泉には塩素が入れられていなくて、入っていてはいけない飲用水にハイターが混入している。何とも言えない気分である。

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