第346話 あっという間の出来事だったんだろうねぇ。

2/20のニュース。


高知医療センターに入院していた20代の男性がベッドから転落、死亡した医療事故の裁判で、男性の両親と県・高知市病院企業団で争われていたが、最高裁が県・高知市病院企業団の上告を認めず、2審の判決が確定し、6600万円の支払いが確定したとのこと。20日に開かれた高知県・高知市病院企業団議会議員協議会で、企業長は「医療の不確実性が考慮されず、結果責任だけを問う判断がなされたとについて、医療に携わる者の立場からは残念に思っている」との発言があったとのこと。

企業団は今回の医療事故を深く受け止め、賠償金は速やかに遺族に支払う、としている、とのことだった。


どういったことが起こったのか、不明だったので少し調べてみたが、「引用」の「引用」になることはご容赦いただきたい。


<以下引用>

事故は救急搬送された20代男性の重症ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の患者が、ICU入院中に発生した。人工呼吸器を装着し、身体抑制を行なっていたが、看護師がベッドから離れた8分後に、安全ベルトを外し、人工呼吸器や中心静脈カテーテルなどを自ら引き抜き、30cmのベッド柵を飛び越え後頭部から転落。脳死状態となり、3か月後に亡くなった

<引用ここまで>


基本的にICUでは、看護師さんのスペースから全患者さんを観察できるようになっている。患者さん同士のプライバシーのため、カーテンで患者さん同士を仕切っているため、おそらく上半身は見えにくかったのかもしれない。たぶんご本人はせん妄状態となっており、一気に安全ベルトを外し、身体についているものすべてを引き抜いて、身体を動かしたのだろう。


おそらくICU看護師さんが止めに行く間もなく、一瞬でことが終わったのだろう。アッと思った瞬間には患者さんは転落していたのだろうと思われる。


1審では医療機関側の勝訴、2審では遺族側の勝訴だったとのこと。


このように、医療サイド側に明確な落ち度なく、不幸な経過を取られた方について、その解決法が医療裁判しか手段がないのは残念なことだと思う。患者さんが重症となり、亡くなられたことについては、ご遺族と同様、医療にかかわったものすべての心の傷となる。で、同じ傷を持った者同士が裁判で争う、なんて極めておかしなことであるが、それ以外に解決策がないのも事実である。


ただ、医療を提供する側としては、「医療の不確実性が考慮されず、結果責任だけを追求される」という事については「やってられないなぁ」と思う事は事実である。


何とも言えず、切ないニュースであった。

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