第332話 「え~っ!それは問題発言ではないか?」

昨日、帰宅途中で聞いていたNHK総合ラジオ。ちょうど国会中継が放送されていた。予算委員会で、国民民主党の前原 誠司氏が質問者だった。話はちょうど広島サミットについてのことだった。前原委員と岸田首相との質疑応答の中で、「えっ?ちょっと、それはどうなの?」という質問が出た。


「ロシアの侵略は国際法違反として「言語道断」という事なんですが、『』二つ申し上げたいことがあります。一つは、ウクライナがいろいろな国に武器供与をお願いして、今まで武器弾薬を供給されている。あるいは今度は戦車だと、あるいは戦闘機だと。ということを、まぁ、言い始めているわけなんですけれども、私は軍事の専門家ではありませんので、『今の』ロシアとウクライナの軍事バランスがどうなっているのか、わかりませんけれども、しかし、ゼレンスキー大統領の言うがままに武器を供与していて、軍事バランスが崩れたときに、最終的に、ロシアは脅しだけでなくて、本当に『戦術核』を使うのではないかと、これをとどめなければいけないという思いを私は強く持っておりまして、そういう意味からしてですね、まぁ、このG7議長国の日本として、まぁ、NATOで動いている部分がありますけれども、国際社会として、全体として核が使われてはいけないという前提の中で、軍事バランスというものを議論する必要があると思いますが、その点についてはどうおもわれますか?」と。


いやいや、前原さん、とんでもないことを言っているのではないか?私も軍事専門家ではなく、政治学を学んだこともない、一介の町医者に過ぎないが、車を運転しながらびっくりしてしまった。


まず、現時点で「戦争」が起きているわけで、その時点で事態は動いており、事態の動いていない「静的」な状態で議論すべき「軍事バランス」を云々する状態ではないだろう、というのがまず1点、そして、前原氏の懸念している「軍事バランスが崩れ、ロシアが戦術核を使う」というのは、ロシアが「敗北」だと感じている時ではないだろうか。そして、そのような形で「核」を使われるのを避けたい、とするならば、彼は「西側諸国からのウクライナ支援」を止め、ウクライナの(無条件降伏ではないにせよ)敗北、という形で戦争を終わらせたい、という事を暗示しているのではないか、と思ってしまった。


ロシアとウクライナ、人口的にも資源的にも圧倒的にウクライナが不利である。かつての太平洋戦争で、資源のない日本は、連合国軍の圧倒的な物量差に敗北したわけではないか。幸運なことに、アメリカの支配下に置かれたことで、国民生活はある程度守られ、治安の混乱もひどいものではなかったわけであるが、旧満州国や北方4島など、ソ連軍の侵略した地域でどのようなことが行われたかを知らないわけではあるまい。


しかも、この戦争はウクライナにとっては「防衛戦争」であり、ロシアにとっては「侵略戦争」なわけである。となれば、どちらに「義」があるかは一目瞭然だろう。ロシアが「戦術核の使用」をちらつかせながら侵略戦争を行なっているわけであるから、なおさら、「ウクライナ」の敗北は避けなければならないものであろう。


という点で、前原氏の上記の質問は、そこに見え隠れする本意やその表現も含め、すごく問題だと思うのだがどうだろうか?


いつも、朝はバタバタしているので、夜帰宅してから、朝刊と夕刊に眼を通している。今朝の朝刊がどのようになっているのかわからないが、上記の質問についてはネット上でもあまり問題とされていない印象である。


「核の絶対不使用」は死守すべき問題ではあるが、そこと絡めて前原氏の質問のような意見が出てくるのは、あまりよろしくはないと思うのだが、どうだろうか?


少なくとも、車を運転しながら、思わず「えっ!マジ?」と私は叫んでしまった。

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