第322話 多分、氷山の一角なのだろう
近畿の3市(大阪府枚方市、吹田市、兵庫県尼崎市)で、人材派遣会社のパソナと、新型コロナウイルスワクチン予約業務を受け付けるコールセンター業務にの業務委託をめぐり、下請け会社の作業人員を水増し請求し、虚偽の報告を行なったため、総額で約11億円の過大請求があった、というニュースが読売新聞に掲載されていた。
3市とパソナが業務委託契約を受け、そのうちの13.7%を「管理料」としてパソナが受け取り、業務そのものは、コールセンター業務を行なっている会社「エテル」に再委託していたようである。
業務開始の当初から、エテルは必要人数の6~7割の人数しか確保しておらず(人が本当に集まらなかったのか、確信的にその人数しか確保していなかったのか、どっちだ?)、にもかかわらず、適切な人数を配置した、と行政側に虚偽報告し、さらに、市民からのワクチン接種の問い合わせ数についても水増し報告をしていたそうである。
「えらい!」と思うのは枚方市役所の担当者である。電話対応件数が3000人を超えているにもかかわらず、ワクチン予約数が750人程度であることを不審に思い、パソナに指摘。パソナがコールセンターを調査したところ、本来100人いるはずが33人(1/3だよ!)しかいなかったとのことだ。
現場では虚偽の日報を作成、パソナに報告しており、パソナ側も、現場への視察はほとんど行われていなかったようである。
調査に対し、再委託を受けた「エテル」側は、「予定していた人が集まらなかったり、退職などもあり、現場の人が足りず、虚偽の報告を挙げていた」とのことである。
そんなわけで、パソナは3市に合計で約11億円を返金、エテルとの契約を解除した、との報道だった。
この事件、枚方市の担当者が「変だ」と気づかなければ、そのまま流れていたのではないか?と感じる。委託料の1割以上を「管理料」の名目で回収しておきながら、ろくな管理もしていない、というのであれば、「下請けとグル」と思われても仕方なかろう。本来は「パソナ」側から「こういう事実がありました。申し訳ありません」と市が気付く前に気づかなければならない。電話対応数、ワクチン予約数、市に情報が上がっている、ということはパソナ側にも上がっている、ということを意味しているわけである。パソナ側が「誠意をもって」仕事をしているなら、担当者、馘首になってもおかしくなかろう(10億円以上のお金が絡む事件だよ)。
どの報道を見ても「契約の詳細」や「返金された金額の内訳」が記載されていないので、「返金された」といってもその返金金額が妥当なのかどうかも分からないままである。
大企業と中小企業の生産性の差が大きい、というのは日本の一つの特徴ではあるが、それは技術力、とか、業務効率という意味ではなく、こういう「中抜き」構造も影響を与えていると思う。「エテル」が決められた人数を充足させなかった、として悪者となっているが、そういう形でなければ、「エテル」側も利益が上げられなかったのかもしれない。
個人的な意見ではあるが、パソナがピンハネ(1割の上前をはねる(かすめ取る)からピン(1、という意)ハネというらしい)した「管理料」、全額没収でもよいのではないか?と思ってしまう。だって「管理」していないのだもの。
このような事件、聞いて不愉快である。
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