このアルバムを初めて聞いたのは、小学5年生のころだっただろうか。クラスメート数人と、担任の先生のお宅にお邪魔した時だったと記憶している。少なくとも1980年代前半であったことは確かだ。

先生のご実家は、駅前でお店屋さんをしていた。何のきっかけでお呼ばれしたのかはもう記憶にないが、先生と、数名で雑談をしたり、音楽を聴いたりしていたのは覚えている。

それから15年ほどたってからだろうか、医学生時代、友人と音楽の話をしていて、MJの音楽の大きなピークはアルバム”Thriller”だったのではないか、曲自体は、”Heal the World”なども好きだが、アルバムは”Thriller”がお気に入りだ、なんて話をしたところ、友人の一人が、わざわざCDを購入して、私にプレゼントしてくれた。

彼がCDをプレゼントしてくれたおかげで、「いい曲だったけど、曲名が分からない」状態は解除された。一番のお気に入りは”Human Nature”という曲。”The Lady in my Life”もいい曲で、そのころには車は持っていなかったが、「この曲を流しながら、高速道路のナトリウムランプが流れていく景色を楽しむと素敵だなぁ」などと思ったりした。

曲調と歌詞の乖離が一番大きく、「こんな歌詞だったのか？！」とびっくりしたのは“Billy Jean”である。切ないメロディと、MJのボーカルがマッチして、好きな曲の一つだったのだが、まさかそんな歌詞だとは、小学5年生には知る由もなかった（歌詞と和訳は検索していただければ、と思います）。

今ならDNA鑑定で確定できるのだが、1980年前半には難しかったのだろう。いい曲だと思うが、歌詞はあまりにもつらいものである。