第257話 「ユーモアは最大の武器である」

読売新聞では日曜日に「書評」のコーナーを数ページ設けていて、様々な新刊書を紹介している。たくさんの新刊と、書評が記載されており、それを読んだだけで何故かその本を読んだような気になることもある。たまたま、そこで「スタンフォード大学ビジネススクール人気講義 ユーモアは最大の武器である」という本が紹介されていた。


私自身は、ぜひとも陽気で周りを明るくしたいと常々思っているのだが、私自身は(大阪人であるにもかかわらず)それほど「面白い」人間ではない。いや、それは正しくない。「面白いことを言うことができる」人間ではない。中学時代だったか、高校時代だったか定かではないが、親友の一人に「お前というキャラクターはめちゃくちゃ面白いけど、お前の言うギャグは全然面白くない」と(真顔で)言われたことがある。大阪人にとって「面白い」というのはものすごい誉め言葉なので、喜ぶべきか、悲しむべきか、微妙な気分になったことを今思い出した。


新書なので、買おうとすると少しお財布に痛みが走るが、これは購入すべき本だと思った。Amazonを使えば簡単に手に入るのだが、その影響で書店が斜陽業種となっているのは事実である。そういうわけでも、この本は「書店」で買おうと思っており、5日ほど前に書店で購入した。


話は少し脱線するが、私が中学時代、校区内にあるS書店という小さな書店が、学年内の「知的レベルの高い人たち」のサロンのようになっていたことを覚えている。文壇の世界で、とあるバーがサロンとなっていたり、漫画の世界ではその黎明期に「トキワ荘」がある種のサロンと化していたような感じであった。私はそのサロンには参加していなかったが、私の友人の多く(ほとんど?)がそのサロンのメンバーであった。もちろん私とは親しくなかった同窓も、そのサロンには参加していた。小さな書店ではあったが、知的なメンバーがその店で集い、少し高尚、あるいはギークな話題で盛り上がり、書籍を購入していたのであった。今はそのような場所はネット上になるのだろうか?残念ながら、私が大学生のころにS書店は閉店してしまった。ちょっとした昔の思い出である。


閑話休題。そんなわけで本を購入して、読破した。もちろんビジネススクールの講義であって、NSCの講義ではないので、自分の内面のユーモアをいかに育てるか、ということではなく、ユーモアのセンスがいかに人と人の絆を結ぶことに有効であるか、そのような人と人の絆が、ビジネス上、あるいは社会的問題の解決に有用であるか、ということに焦点が置かれている。なので、どうやってユーモアのセンスを自分の中に育てていくか、ということについては、多数の章の中の1章でしか扱っておらず、これを読んだからすぐに自分がユーモアのある人間になる、というわけではない。「自分がユーモアのある人間になる」ということを目指すためには別の本がもしかしたら有用かもしれないが、ユーモアであること、陽気でフレンドリーであることの有用性は十分に納得できた。確かに人気講義となるわけである。


ユーモアの効能はよく理解した。あとは私が「ユーモア」のセンスのある人間になるだけである(あれっ?そのためにこの本を買ったんじゃなかったっけ??)

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