第251話 やっぱりワクチン、効いているんじゃないの?

中国では、つい先日「ゼロコロナ」政策から一転し、「コロナによる制限を解除する」政策へと転換した。それと同時に、爆発的なCOVID-19パンデミックが起きているようである。中国の公式発表では明確な数字も、どのような株が流行しているかも非公開となっているが、ロイター通信の報道では、毎日3000万人程度の感染者が出ている、と報告されている。また、政府非公開ではあるが、死者も多数出ているようであり、各都市の火葬場には、仮想を待つ人を乗せた車で大行列ができている、との報道もある。


計算を容易にするため、中国の人口を日本の約10倍、と考えてみると、日本に当てはめると、新規感染者数が1日300万人、ということになる。第8波はまだピークに達していないが、前回の第7波では、ピーク時で1日に20万人強の新規感染者数であった。なので、あの第7波のピークの10倍の新規感染者数となっている、ということである。


第7波のピークの時も、日本国内では「医療崩壊」と叫ばれていた。なので、その10倍の感染者数が出る、ということは想像もつかない。中国政府が、現在の流行株の詳細を示していないので(国が検査機関に、ウイルス型の同定をしないよう指示を出したようである)、どのような株が流行しているのかわからないが、現実問題として中国では医療システムが崩壊し、医療従事者は感染者であっても、仕事ができるようであれば出勤し、仕事をしているようである。医療だけでなく、社会活動全体としても、感染者も「就業してよい」としているようである。確かにそうしなければ、社会は破綻してしまう。


以前から私は、「COVID-19を2類感染症から5類感染症にしても、医療崩壊は防げない。かえって流行を広げるだけである」と書いていた。以前に書いた文章(第288話)だが、ニュースの報道で京都第二赤十字病院救急部の先生の言葉、「国民の意識が変わり、COVID-19も普通の風邪と全く同じ認識になり、『感染しても普通に働いていいですよ』『濃厚接触者も普通に働いていいですよ』『検査もいりませんよ』というようにならなければ、第1波と同じように、感染者と接する場合にはPPEを着て対応し、受け入れ病棟には制限があり、2類でも5類でも現状は変わらないままであろう(趣意)」という言葉のとおりであり、結局中国では、感染者であろうとなかろうと、動けるものはいつも通りに動くように、と指示され、それがまた感染を広げている、という形になっているのだろうと思われる。


しかし、オミクロン株の感染力(実行再生産数)は約16と麻疹と同じぐらい、感染力の強さとしては「最強」のレベルである。さらにウイルスの感染力が強まっているのか、もしくは国民側に、ウイルスに対する抵抗力がないのか、あるいは感染対策に穴があるのか、何か問題が無ければ、対日本と比較して、日本のピーク時のさらに10倍の感染率を上げることは難しいのではないか、と思う。日本国内では、コロナワクチンの有効性について、日本国内での感染者の解析から疑問の声も上がっているが、中国の現状を見ると、日本人の衛生概念の高さだけでなく、やはりワクチン、効いているんじゃないか、と個人的には思ってしまう。


隣国の惨状を見るにつけ、日本国民も日本政府も、日本の医療界も実は結構頑張って対策していたのではないかなぁ、と思っている次第である。

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