第180話 そういうことか…

数日前のニュース。42歳の女性が、路上で倒れ救急搬送。他院から深谷赤十字病院に転院となり、アメーバ性大腸炎と診断。治療薬のメトロニダゾールを処方されたが、副作用の末梢神経障害を発症し、車いす生活となってしまった。それでその女性は深谷赤十字病院に対して高額の慰謝料を要求する訴訟を起こした、とのこと。ニュースソースは埼玉新聞であった。


それだけを見ると、診断に対して正しい治療を行ない、運悪く副作用が出たことで不自由な生活となってしまったが、病院側は適切な治療を行なったのに訴えられ、大変だなぁ、という印象だった。


このことについて書こうと思い、少し調べると、様相が変わってきた。ソースは毎日新聞の有料記事。途中までしか読めなかった(何せ有料記事なので。我が家の新聞は読売新聞)が、主治医はメトロニダゾールを42日間投与していたようだ。アメーバ性大腸炎(アメーバ赤痢)の治療期間としては明らかに不自然である(ふつうは1~2週間程度)。それで少し得心した。42日間投与し続けたのはなぜなのか?おそらく病院側はそこに患者さんが納得できる明確な回答をできなかったのだろう。それなら、患者さんが高額の賠償を求めるのも理解できる。


記事になっていない微妙な判断が争点となることがしばしばであり、わずかな情報しか載っていない記事を読んで、わかった気になっていてはいけないなぁ、と思った次第である。

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