第161話 Taxman

発売から55年以上が経つビートルズのアルバム“Revolver”。一説によれば、日本公演の際に警護についていた警察官の持っていた拳銃からインスピレーションを受けた、という話も聞いたことがある。このアルバムの1曲目が、ジョージ・ハリスンの作曲した“Taxman”という曲である。酷税に苦しめられたビートルズの思いを代弁する曲である。


どういうことになっているか説明させてください。

1/20はあなた、19/20は私どもに

なぜなら私は徴税人だからです。


もし5%が少なすぎるとお感じなら

すべて持っていかないことに感謝してください

なぜなら私は徴税人だからです。


車を運転するなら、道路に課税しましょう

座ろうとするなら、椅子に課税をしましょう

とても寒いとお思いなら、暖房に課税しましょう

散歩をされるなら、あなたの足に課税しましょう

徴税人ですから。


という具合の歌詞である。


先日、税務調査会議で、BEV(バッテリー式電気自動車:エンジンを持たない電気自動車)には、燃料税がかかっていないのは、エンジン付き自動車と比較して不平等だ、という意見から、「走行距離に応じて課税する」という「走行距離課税」という議論が出た。


どこの世界にもビートルズファンがいるもので、そのニュースが出たと同時に、この曲と合わせて議論をした記事が出ていた。先を越されてがっくり、というのは横において、国は税金を取るためにあの手この手を考えるものである。


自動車にはがっつり様々な税金がかかっているが、やはり理不尽なのは燃料税である。ガソリン、軽油、灯油、後は車とは関係ないが、お酒やたばこ、これらはもともとの原価に所定の税額が加算され、販売価格が決定されている。ガソリン税より軽油税の方が税率が低いので、軽油の方が安くなっているのだが、それでもガソリンや軽油の価格の半分前後が燃料税である。理不尽なのは消費税で、消費税は販売価格にかかってくるわけである。いま、私の住んでいる地域で、ガソリン1Lが160円前後で推移しているので、仮にガソリンを1L購入すると、1Lで176円となる。しかし、この消費税16円分のうち、半分の8円は「ガソリン税」にかかった「消費税」である。税金に税金をかけることを「二重課税」というが、燃料となる油やたばこ、お酒は二重課税が消費税導入時からずっと続いていて、有識者からはずっと問題視され、問題提起され続けているが、財務省は大蔵省の時代からしらばっくれたままである。たぶんこのまましらばっくれ続けるのだろう。


閑話休題。自動車が普及し、自動車なしでは生活できない(都心は別)今の時代、ガソリン税も大きな国の収入になっていたが、ハイブリッド車やBEV、あるいは普通のガソリン車でも燃費が非常に向上したため、ガソリンが売れなくなってきた。という事は国の税収が減るわけである。特にBEVは、全くガソリンを使わないので、明らかにガソリン税を免除された状態で走っているわけである。その一方で、バッテリーのため車重があり、道路への負担は大きい。という事での苦肉の策が「走行距離に課税」という事である。自動車の任意保険でも、走行距離によって保険金額が変わる、というのが珍しくはなくなっており、おそらくその導入もそれほどハードルが高いものではないだろう。全く税金ばかり取られている気分である。その一方で、取られる税金は山ほどあるのに、子育て支援などの制度はなぜか、収入で切られてしまう。たくさん税金を納めているのだからたくさんバックしろ、とは言わないが、こちらも家族を養うのに必死である。夫婦共稼ぎで夫婦とも年収700万円、家族での年収1400万円のパワーカップルの方が、私より絶対支払っている税金も安いし、支援金ももらえているはずである。理不尽だわー、と思うところである。


たくさん税金を取られても、それが適切に執行されていれば、許せるのだが、そうではないところが最も腹が立つ。特に国会議員。月100万円の税金を取られない文書通信交通滞在費、公金なんだから、使途を明確に公表すべきである。国会運営、議事進行を空転させたり、逆に強行採決を行なえば、与野党ともに一定の過料を科すべきである(もちろん議員の歳費から減額!)。


話が脱線してしまったが、本当に税金を取ることには熱心だなぁ、と感心する。それくらいの熱量で、無駄遣いも取り締まってくれればいいのだが。

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