第117話 当てもんちゃうで!

随分と昔、6歳下の弟が高校受験、ということで勉強を見ていた時のこと。英語の出来があまりよくなく、問題集の「括弧のなかに、適切な前置詞を入れなさい」という問題を解いていると、なかなか解答欄が埋まらず、


「兄ちゃん、ここ、"in?“」

「違う!」

「じゃあ、”on”?」

「はずれ!」

「じゃあ、”of”?」

「あのなぁ、当てものじゃないんやから、ちゃんと熟語を覚えるとか、前置詞のニュアンスをつかむとかして、ちゃんとおぼえろよ!」


とぼやきながら勉強を教えていたことを覚えている。


次男が高校受験のため、ようやく気合を入れて勉強を始めた。うれしいことだ。ちなみに長男は某進学校に通学中。一昨日のこと。


「兄ちゃん、ここ、"in?“」

「違う!」

「じゃあ、”on”?」

「はずれ!」

「じゃあ、”of”?」

「あのなぁ、当てものじゃないんやから、ちゃんと熟語を覚えるとか、前置詞のニュアンスをつかむとかして、ちゃんとおぼえろよ!」


と、私が弟に言っていたことと全く同じことを、長男は次男にぼやいていた。


こういうものも「遺伝」なのだろうか?いつぞや見た景色が繰り返されているのを見て、思わず大笑いしてしまった。長男も次男も、そして弟も、愛しいものである。

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