第7話 リオ待ち伏せされる
◇◇◇◇◇
リオとリンドウが街に向かっている途中、もうそろそろ街に着こうかというところに、2人の人影があった。
ブラン:「兄貴!あいつら帰ってきたぜ!」
マッド:「やっとかよ。
それじゃ、作戦開始とするか!ははは!」
マッドとブランの兄弟が待ち伏せしてる。
ブラン:「おい!お前ら!そこに止まれ!」
マッド:「待たせやがって!ブラン!召喚石を渡せ!」
ブラン:「おー、兄貴!ほれよ。お前らも終わりだな。
坊主は俺が相手してやるからな!ヒーヒヒ!」
マッド:「嬢ちゃんは俺が相手だぜ!
まあ、2人がかりになるがな!」
そう言うとマッドは召喚石を割って前方に投げつけた。
すると、割れた召喚石から黒い個体の巨大な魔物が召喚された。
リンドウ:「ほぅ。ジャイアントサイクロプスの亜種だね。Aランクじゃないの。
また厄介なものを召喚したわね……。」
リンドウが言う通り、ジャイアントサイクロプスはBランクの魔物だが、この亜種はクロムジャイアントサイクロプスでAランクの魔物である。
ブラン:「何?Aランク!?」
ブランは魔物のランクに何故か驚いている。
マッド:「まあ、いいじゃねえか。
こっちが有利なのは変わらねえ。」
マッドもまた、想定外だったようだ。
いきなりクロムジャイアントサイクロプスは咆哮を上げた!
すると、その魔物の前方に威圧のような突風が広がった。
リオとリンドウはその威圧に後方に吹き飛ばされた!
ただ、リオはリンドウに抱き抱えられ着地したためノーダメージ。
マッド:「よしよし、いいぞ!魔物!
続けてあの女を攻撃しろ!」
それを聞いた魔物は向きを変えて、マッドたちがいる反対方向にも咆哮を上げた!
マッドとブランも同様に反対側に吹き飛ばされ、マッドとブランは地面に叩きつけられて、かなりのダメージを喰らった!
ブラン:「兄貴!あの魔物、制御されてねえよ。」
マッド:「くそー、あいつ騙しやがって!」
ブラン:「兄貴、やべーよ。あの魔物、Aランクだぜ!俺たちじゃ、無理だよ。
って言うか、サウルの街にも倒せるやつはいねえよ!どうしよう!?」
マッド:「落ち着け!とにかく、街まで逃げるぞ!
あの魔物のことは、自然発生したことにしろ!いいな!」
そう言うと、マッドとブランは吹き飛ばされた方向と同じ方向の街に向かって、走って逃げて行った。
逃げ足は速い。圧倒的速さ!
さすがCランクとDランクの冒険者である。
一方、クロムジャイアントサイクロプスは、リンドウと対峙していた。
リンドウは、クロムジャイアントサイクロプスが後方を向いているうちに素早く、リオだけを岩影に退避させてから、クロムジャイアントサイクロプスの前方に戻っていた。
リオは遠くの岩陰から、リンドウと魔物の様子を見ていた。
リンドウ:「リオを退避させてしまえば、こっちのものよ。本気を出すまでもないわね。来なさい。」
少しの間の睨み合いの後、クロムジャイアントサイクロプスが振りかぶって、リンドウのいる地面を叩きつけるような重いパンチを繰り出した。
ドカーン!!バキバキ!
リオには全く見えていない。
が、地面が地響きと共に大きく揺れた。
それほど速い攻撃にも関わらず、リンドウは魔物の全ての攻撃を紙一重でかわしまくっている。まさに芸術を見るようであった。
そして、数撃の攻撃ののち、その攻撃した拳が地面にめり込んだのを確認して、その腕を駆け上がり、一瞬でクロムジャイアントサイクロプスの首筋に数十の刃を落としていた。
華麗な二刀流の演舞であった。
クロムジャイアントサイクロプスが最後の咆哮を鳴り響かせたあと、その巨体が大きく前に崩れ、首と胴体は綺麗に別れていた。
そして、クロムジャイアントサイクロプスは光の粒となり消滅した。
そのあとには、巨大な魔心が一つとレアアイテムがドロップしていた。
遠くから、リオが興奮気味に駆け寄ってきた。
リオ:「リンドウ!すごいね!
僕は全然見えなかったよ。」
リンドウ:「ふふふ。リオは鍛えないとね。
はい、これ魔心とアイテム。」
◇◇◇◇◇
同時刻。代官の屋敷にて。
代官:「今の咆哮はなんだ!?」
代官が声を上げると少し立って見張りからの報告を受けた代官補佐が代官室に入ってきた。
代官補佐:「たった今、見張り番からの報告で超巨大な魔物が門の外に出現したとのことです。」
代官:「超巨大な魔物!?なぜ?
とにかく、我々も向かうぞ!」
代官他、代官室にいたメンバーは急ぎ、街の門まで直行した。
◇◇◇◇◇
街の門に到着した代官は遠くに見える超巨大で黒い魔物を確認した。
代官:「あれは一体なんだ?」
代官補佐:「はい、推定ですが、ジャイアントサイクロプスの亜種である可能性が高いとの報告です。
Aランクの魔物です。」
代官:「はぁ?なぜこんなところにAランクの魔物がいるんだ。今すぐ門を閉じて護衛団を集結させろ!」
代官補佐:「はい、承知いたしました。護衛団はすでに招集していますので、間もなく到着します。
ただ、Aランクの魔物では、対抗できる可能性は低く……。」
代官:「わかっておるわ!他に方法がないだろう!
ぐぬぬ、街を放棄することも考えておかないといけないとは……。」
そこへ、逃げ帰ってきたマッドとブランが大声で叫んで、街の門に走ってきていた。
マッド:「おーい!助けてくれー!
俺だ!マッドだ!」
マッドとブランは息を切らして街の門にたどり着くも、そこに父である代官がいることに焦りを覚えている。
マッドはブランに目配せをして牽制している。
代官:「おい!マッド!何があったのか説明しろ!」
父親から怒りとも取れる怒号を浴びせられて、一瞬怯むも想定の答えを伝えた。
マッド:「俺たちもわからねえ!突然、魔物が現れて急いで逃げてきたんだよ。」
代官:「そうか。まあ、無事でよかった。
あれはジャイアントサイクロプスの亜種なのか?」
マッド:「そうだ。Aランクらしい。」
代官:「わかった!とにかく、門を閉めるぞ!
全員、街に入れ!」
全員が街に入るため、一斉に動き出した時、クロムジャイアントサイクロプスの最後の咆哮に全員が振り向き、それと共に魔物が消滅していくのを唖然として眺めていた。
代官:「消滅!?今度は一体何が起きたんだ?」
◇◇◇◇◇
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