第12話
「あん? ふざけた事言ってるなよ、私達待ちくたびれてるの、パールの奴らの包囲網は激しいし、秩序守れって煩いばかりで真実はひた隠し、隆二さんが公式でキチンと言ってくれない限り、私たちも納得できないのよ、で、もう一年近く経ってるわけ、で、ひと月前にあんたが同じ隆二と本名が同じ瀧河になってるでしょ? なのにやっぱりなんにも公式連絡がないのよ」
はぁ……。そっか。
僕と違って隆二のファンは多いからなぁ。
……でもなぁ僕の口から言うのもどうなんだろう……。
隆二は隆二なりに考えがあると思うんだよなぁ。
すると僕の姿を見て隆二のファンの一人が急に声を上げた。
「あっ! あんたっ、そのペンダント!」
そう言うと勝手に僕のしているペンダントを掴んでくる。いきなりで僕はびっくりしてしまった。
「えっ? ちょっと……」
「ペンダントだけじゃない、シャツも上着も! 隆二の好きなブランドじゃない! しかも最近それ彼着てない」
「どういう事? 瀬菜」
瀬菜と呼ばれた子に他の子が同じようにああっ、と叫んだ。
「えっ、そ、そうですが……」
何か悪いのかな……悪い事したのかな僕……。
「そうって何が!」
「あーいやっ、そのっ、隆二がすぐ服捨てようとするから勿体無くて、僕が貰ってるんです……」
「なんですってぇ!」
瀬菜と呼ばれた彼女の剣幕に僕は縮こまってしまった。
「だっ、だって、勿体無いじゃないですか~まだ十分着れるのに……」
「あんた馬鹿じゃないの? 問題はそこじゃないわよ! なんであんたが隆二さんのお下がり着てんのよっ!」
しばらくガムをくちゃくちゃ食べてる男が僕の服の襟元を引っ張ったり、髪を勝手に弄ったりして弄び始めた。
「どういうことなのか言っちゃえば?」
耳元でクスクス笑う。
あ~う~。もうなんか黙ってたら一生帰してくれない空気だよ……。
怖い……怖いよ……隆二……。
「す、すいません、さっき本世屋くん達にも話してたんですが、僕、そのっ先日、隆二と……」
「それって……」
「しっ、静かにっ、誘導尋問じゃなくて本人の口から言わせたいの」
う~あ~尋問に近いよ。というかこれ尋問という拷問……。
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