7

「とにかく向日葵ひまわり、鍵貸して」


 冬樹ふゆきは、頭を抱えながら手を差し出す。

 だが、向日葵ひまわりは一歩後ずさる。


「駄目!駄目なものは駄目!」


「いや、それこそ駄目だから……これか」


 冬樹ふゆきは、そばにあった向日葵ひまわりの鞄を取ろうとしたが素早くかわされ、虚空を掴んでしまう。


「駄目駄目駄目駄目ー!だって外したらとき逃げちゃうもん!」


 向日葵ひまわりは、鞄を抱えて頑なに阻止する。

このままでは鞄を渡しそうにないので、仕方なく冬樹ふゆきは意を決して向日葵ひまわりから鞄を奪おうと腕を掴み、引き剥がそうと引っ張り上げる。だがなかなか離れない。

 向日葵ひまわりは、女の子とは思えない力で下に引き下げてきたのだ。


「ひ…まわ、り!いい加減……離しなさ、いぃ!」


「離さない、も……んっ……!」


 暫く交戦が続いた直後、冬樹ふゆきはあらゆる筋肉を使い一気に下に引き下げた。


「あっ!」


 急に反動が無くなり、向日葵ひまわりは前のめりに倒れ鞄から手を離してしまった。


「ぜは……ぜは……や……やっと離せた……」


 冬樹ふゆきは、隙をつき鞄から鍵を取り出すとときの元へ向かい布を取る。


「たく……ときも何してるの」


「五月蝿いな……首殴られたんだよ」


「そうなの?」


 冬樹ふゆきは、錠に鍵をはめこむと回した。

 だが、錠が半分に割れ一回り小さい錠が出てきた。


「なんじゃこりゃ」


 冬樹ふゆきは、更に錠に鍵をはめこみ回す。

またも錠は半分に割れ一回り小さい錠が現れる。


「何個ブロックかけてんの!」


 冬樹ふゆきは、更に鍵をはめこみ回す。

 更に小さな錠が現れる。

 更に回す。

 更に現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。

 回す。現れる。


「どうなってるの、とき!」


「俺に聞くな……って、冬樹ふゆき避けろ!」


「え?ぐはっ!!!?」


 ときの警告も遅く、冬樹ふゆきの頭に衝撃が走る。

 冬樹ふゆきは、衝撃の影響で軽く目をまわす。

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