第7話 帰るまでがダンジョンダイブです
「最後にダンジョン並びにDPについて説明します」
突然の命名式を経て白い球体、もといサーボの説明は佳境に入る。
「DWOにおけるダンジョンがどういうものかは既にご存知でしょうか?」
「公開されている情報の範囲ならば」
「であればそれらは省略します。ダンジョンはあちらに見える《ダンジョンゲート》から入ることが出来ます。現在開放されているダンジョンは、チュートリアル用の初心者ダンジョンだけになります」
ログイン直後に見た謎だった巨大な扉は、どうやらダンジョンに入るための扉だったらしい。
「ダンジョンでモンスターを倒すとDPやアイテムを取得します。また木を切ったり鉱石を採掘することでも素材は取得できます。取得したアイテムや素材はストレージに自動的に収納されます。収納限界を超えるとアイテムは取得できずその場に残るのでご注意ください」
ストレージの細かい内容は後ほど実際に見て確認してください、とサーブは続ける。
「ダンジョンは階層で分かれており、通常第1層から始まります。フィールドの何処かに《ゲート》があり、そこから次の階層に進むことになります。《ゲート》の位置はダンジョンに入る度不規則に変わります。また特定の階層には《ゲートキーパー》が存在し、これを倒すとダンジョン入場時に撃破した階層から始めることが出来ます。そうやって進んでいき最終階層にいる《ダンジョンガーディアン》を倒すことでダンジョンクリアとなります」
「ダンジョン内でログアウトしたらどうなりますか?」
「特定の状況でないログアウトをした場合は、それまで取得したアイテムを全て失います。死亡した場合も同様です。《ゲート》から《マイルーム》に戻るかダンジョンをクリアしない限りアイテムを持ち帰ることは出来ません」
ダンジョンに潜り、モンスターと戦ったり素材を集めたりして進み、《マイルーム》に帰るか《ダンジョンガーディアン》を倒したら持ち帰り成功。
死んだりログアウトしたら全没収、わかりやすいなと大河は思う。
「モンスターを倒すとDPやアイテムとは別に、所謂経験値を取得します。これを得ることでプレイヤーは強化されていきます。ですがDWOではHPMPを含むステータスは表示されませんし、レベルアップなどもありません。しかしそれらはわかるようになっています。説明では伝わらないと思いますが、強化されていけばそれが実感できるようになります」
わかりやすいと思ったら急に難しくなり困惑する。
「えーと、モンスターを倒せば数値化はされないが確実に強くなり、ゆくゆくはそれがわかるようになると。筋肉トレーニングみたいなものですか」
「筋肉と違いアバターには結果は反映されませんが、概ねそれであっています」
強くなるには地道に努力する必要があるようだ。
「続いてDPについて説明します。恐らくもうお気づきでしょうが、DPはDWOでの通貨のようなものになり、《マイルーム》で行う作業には必ず使用します。今から特別にDPを配布しますので、それを使い《クラス》を取得してもらいます」
サーボの言うようにDPについては想像していた通りだった。
《クラス》は説明を受けていないが、コンソールに戦士や魔法使いなどが表示されているためこれのことだろう。
「《クラス》を取得してもプレイヤーは強化されませんが、その《クラス》にあった《スキル》を覚えることが出来ます。《スキル》はダンジョン攻略に欠かせないものです。《クラス》の取得数に制限はなく、DPを払えば他にも取得できますので、今回は好きなものを取得してください。それに合わせて装備も支給します」
「おすすめはありますか?」
「グループでダンジョンに挑むなら役割にあった《クラス》を、ソロならば最初はバランスのいい戦士を推奨します」
大河は勿論全て取得するつもりなので、今回はおすすめ通り戦士を選択する。
特になにも変わった気はしないが、内部的には戦士になっているはずだ。
「ストレージに戦士用の装備品を支給しました。自動では装備しないので、ダンジョン入場後必ず装備してください。サーボからの説明は以上ですが、なにか質問はありますか?」
細かく聞きたいことはある。
あるが、それは急いで聞かなくてもいいだろう。
どうせこれから長い付き合いになるのだ、聞く機会は幾らでもあるはずだ。
なので、大河はこう答えた。
「説明ありがとうございました、とりあえずダンジョンに行ってきます!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます