86 モンハン会02 ※まだライズです※
十四時ぐらいに二人がやって来た。
「いやぁ、まいった」
やってくるなり掛井君が言う。
「泊まるのなしになったよ、ごめん」
「どうしたの?」
「いや、急に親がさ、明日は朝から出かける用ができたから帰ってこいって」
「そっか。ならしかたないね」
「ごめん。でも、ぎりぎりまでいるつもりだから」
それなら晩御飯は無駄にならないかと考えつつ、四人で狩りをする。
お土産のお菓子を摘まみつつ狩り。
アリスがポッキーばかり食べる。
「ふふふ、我が傀儡の突撃を受けよ!」
「アリスさん、ナイス!」
「はい、痺れさせた」
「一色さん、ナイス!」
「回復させるよ」
「琴夜君、ナイス!」
掛井君はとにかくみんながなにかをすると「ナイス!」と言ってくれる。
HRは掛井君がはるかに高くてテクニックも一番なので、始めたばかりの僕たちの出番なんてほんとはないのだろうけど、掛井君はずっと楽しそうだった。
「やっぱモンハンはみんなでやってこそだよね!」
掛井君の笑顔がまぶしいぐらいに輝いている。
時間が過ぎるのはあっという間で晩御飯の時間が近づいてきた。
冷蔵庫で用意しておいた鍋にスープの素と野菜を入れて火をつける。
狩りをしながら鍋の様子を見る。野菜がくたりとしてきたところでオーク肉を投入。
さらに一狩りしてからリビングのテーブルにカセットコンロをセットして鍋を置く。
「じゃあ、ご飯にしようか」
「おお、鍋なんてすごいね!」
掛井君が嬉しそうだ。
「自分でこんなのできるなんて、琴夜君はすごいなぁ」
「そんなことはないよ」
「いや、彼方はすごい」
「うむ、カナタの料理は美味いぞ」
「あ、美味しいって言ったね。じゃあ、アリスもちゃんと食べてね」
「ぐむ!」
こっそりヤマザキパンを取り出そうとしたところを押さえて、僕はアリスの器に盛る。
「なんだ、アリスは辛いのは食べられないのか?」
一色がアリスを見て笑った。
「む、そんなわけがなかろう」
「そうか? いつも甘いものばかり食べているからな。そうかそうか。彼方の料理が食べられないのか。かわいそうになぁ」
「そんなことはないと言っている!」
そう言うと、アリスが箸を持ち、野菜を摘まんで口に入れる。
「もぐもぐ。ほれ、食べれるぞ」
「む……」
「うむ、美味い。ほれ、一色も食べたらどうだ? 我とカナタの作った鍋を」
「ぐむむ!」
作ったって……まぁ、オークの解体をしたのはアリスだけどね。
悔しそうにしながら一色も食べる。
「…………」
「一色?」
「…………」
「あれ? 美味しくなかった?」
「…………」
「一色?」
「……かりゃい」
「え⁉ 一色って辛いのだめだった?」
これ、辛さは普通だと思うけど。
「いや、大丈夫だ! 食べられる! 美味しい!」
なんだか無理した顔で一色が食べ始める。
大丈夫かな?
とりあえず、二人が買って来てくれたジュースを注いでおく。
僕も食べる。
うん、美味しい。
「それにしても、この鍋美味しいね!」
掛井君が明るく言ってくれる。
「それにこのお肉! すごい美味しいんだけど、本当に豚肉? まるで初めて食べたお肉みたいだ⁉」
「ブタニクダヨ」
「琴夜君?」
「ブタニクダヨ」
「そ、そう」
僕にはすごい美味しい豚肉としか思えないけど、掛井君はなにかを感じ取ったのか?
掛井君、なにげに味にうるさかったりするのかな?
--------------------------
ちなみに。
彼方:生存重視の回復笛
アリス:操竜に猟具、使える物はなんでも利用するライトガンナー
一色:状態異常に情熱を注ぐ双剣使い
掛井:なんでもござれの廃人狩人
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。