79 憑依スライム・アリス&カナタ19
「それで、なにをどうすればいいの?」
「お前の貯蓄魔力値はなんのためにある?」
「いや、そういう流れなんだろうなっていうのはわかってるけどさ」
問題解決方法はレベルを上げて物理で殴るなんだろうなっていうことぐらいはわかってるさ。
「そうだな……」
と、アリスの言う通りに貯蓄魔力値を消費していく。
総合制御を15から20に。
仮想生命装甲と魔力最大値増加を15から20に。
運動能力強化を5から10に。
恐怖耐性を2から5に。
そして新たに戦士、剣術、盾術を15まで取得。
回復魔法を10まで取得した。
それだけして、とりあえずこうなった。
【ステータス】
●カナタ・コトヨ 男
●生命力 60/60
●生命装甲 2000/2000
●個人魔力 2250/2250(+2000)
●スキル:魔眼lv13(霊視lv05・魔力喰いlv03・遠視lv03・解析lv02)/個人情報閲覧/総合制御lv20/運動能力強化lv10/仮想生命装甲lv20/魔力最大値増加lv20/生活魔法lv10/空間魔法lv10/基礎魔法lv10/魔法応用lv10/神聖魔法lv10/変身(スライム時限定)/万能翻訳/魔法陣学lv05/透明化/気配遮断lv01/恐怖耐性lv05/並列思考lv05/戦士lv15/剣術lv15/盾術lv15/回復魔法lv10
●蓄積魔力値:56900
●加護:福神の加護・序
「貯蓄魔力値がまだ残ってるけど?」
「不測の事態の時に対応できるだろう」
「それもそうだけど。でも……」
なんか嫌な予感がする。
「一応聞くけど、僕っていまスライムだけど?」
「変身できるだろう?」
「うん、そうだよね。でも、武器とかは?」
「あるじゃないか。空間魔法に保管しているだろう」
海で見つけたあれのことだよね。
「見たくもないみたいな顔をしてなかったっけ?」
「いつまでもそんな不貞腐れた顔をカナタに見せるわけにもいかないからな。気持ちを切り替えた」
「切り替え早いね!」
「大事なことだぞ。誰が敵か味方かわからないときは特にな」
「そうやって経験者マウントしようとするのはどうかと思う」
言い返しつつ昨日手に入れた一式を引っ張り出す。
上半身だけのマネキンに付けられた鎧と宝冠みたいな兜に剣と盾。
うん、やっぱりそうだ。
「これ、女性用だよね」
「そうだな」
「僕男だよ」
「向こうではな。ここではスライム。スライムは無性だ」
スライムって無性なんだ。なら、どうやって増えるんだろう?
いや、そういうことじゃなくて。
「いや、男だよ!」
「まぁ、スライムからの変身だから気にするな」
「気にさせて!」
「まぁまぁ、素直になってみろ」
「な、なにが……?」
「一度ぐらい、女になってみたいと思ったことはないか?」
「うっ……」
どうしてここで「ない」って言いきれないのか。
だけど僕も多感な高校生。
思ったことがないわけでもない。
「いまならなれるぞ」
「うう……」
でも、でも……。
ここで了承したら僕が変態みたいじゃないか?
「大丈夫。我はそんなカナタも好きだぞ」
「なんか追い詰めてない? 楽しんでない⁉」
「もちろん楽しい」
アリスは嬉しそうに答える。
結局、僕は女の子になることを選んだ。
「よしよし。では、我がうまく導いてやろう」
そう言ってアリスがピタリと引っ付く。
途端に、頭の中にイメージが浮かんだ。
「変身のコツは変身する姿をきちんとイメージすることだ。自分で出来なければ絵を……そうだな。カナタなら写真を参考にするのもいいだろうな。さあ、使え」
「うん」
言われるままに変身を使う。
ぬるぬるとスライムボディが変化し、体が出来上がる。
自分の姿を再現した時にも感じたけど、変な気分だ。
「ほら、できたぞ」
隣にはいつものアリスがいて、どこからか鏡を出してくれる。
そこに映っているのは黒髪黒目の美少女だった。
「これが……僕?」
鏡に映った僕に思わず見入ってしまっていると、その向こうでアリスがニヤニヤしているのが見えた。
「変身は楽しかろ?」
「ぐぬう~~~~」
「ほれほれ、次はその鎧を着せてやろう」
そう言うと、アリスは慣れた手つきで鎧を分解し、それを僕に着せていく。
「この鎧って、実はアリスの敵だった人の……だったりする?」
「……どうしてそう思う?」
「嫌そうだったから」
「ふふ……なにがあろうと、すでに百年も昔のこと。カナタが気にすることなど何もないよ」
「違うよ」
「うん?」
「僕が気にするのはアリスのことだからだよ。何年経っていようとアリスが嫌な気持ちになるのなら、問題だよ」
「…………」
「アリス?」
「ふ、ふふふ……本当に……」
「?」
「本当に、カナタは良い男だよ」
「いまは女の子だけどね」
「そうだな。では……女の喜びを教えてやるのも面白いかもな」
「モンハンしにきたんだよね!」
あやうく貞操の危機を迎えるところだった。
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