第57話 ランク戦の洗礼

転送されて第一に目に付いたのは木だった。

どうやら山の中らしい。


「森林か……」


マップは森林。長距離狙撃は無いと思っていい。

レーダーを見ると、3人が消えた。


暗殺者アサシンの専用オプション装備。『ステルス』だ。


『ステルス』

マップ上から姿を消すことが可能で、奇襲や遊撃、そして狙撃手スナイパー潰しなど用途は多岐によって使われる。

降谷が使っているのもそれだ。


だが、デメリットも存在する。それは足音が消せないことだ。

つまり、歩いたりしてるだけで居場所がバレてしまう。


だから、ある意味では上級者向けという点もある。


「俺も移動するか……」


誰が聞いてるわけでないが俺は小さく呟くと移動を始めた。


まずはレーダー頼りで接敵すると、ナイフ使いの少年が現れる。


「くっ……!!」


少年は苦悶くもんの表情に顔を染めると、ナイフを投げつけてきた。

俺は頭部に接近してきたナイフを軽く避けるとそのまま距離を詰める。


「シッ…………!!」


殺気を込めた吐息を吐きながら、一撃をノーモーションで一閃させて繰り出すと、敵は反応出来ずにそのまま首を落とす。


『HP全損』


すると、無機質なアナウンスが流れ視界にプラス1ポイントという得点が上がった。

こっちはあの化物レヴィと修行をしたのだ。そう簡単に負けてたまるかと思う。


『とりあえず1点取ったぞ』

『では、このまま合流しましょう。チーム生存点を取れば及第点ですから』

『ああ、分かった』


そう言うと、俺は目を瞑り天を仰ぐと「ふぅー」と息を吐きその場から去った。

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