継続は力なり
日記に書くことがない……
いや、これは自分が悪いのもある。一日中家に籠って作業したりゲームしたりで、日々の暮らしにデカい変化がない。そういう穏やかな暮らしを求めていたからこそ、今は実家でサポートを受けながら自分で稼ぐリハビリをしているわけだが……自分のようなクリエイティブ系の方向で頑張りたい人間からすると「何も起きない日々」ほどに怖い物はない。
刺激が無ければ、感情や感覚といったものを司るセンサーが鈍ってしまうような気がして、いつか何も生み出せない干からびた人間になってしまうのではないか、と不安になってしまう。かといって今からアマプラで映画を見るか、という気にもならない。不用意に映画・ドラマで感情を揺さぶらされて疲れたくない、と心が防衛線を張っている。なかなか最初の一歩を踏み出せないアルバイトも同様だ。
昔から、ドラえもんやクレヨンしんちゃんのような、主人公が何かしでかしてオオゴトになるような物語が苦手だった……そういった自分は何かをインプットするのも一苦労で、いつもいつも別の部屋に行って変な刺激を受けないよう逃げていた……
「ストーーーーーーーーーップ!!!!!!!!!!」
おねーちゃんストップが入りました。
ただいまから審査に取りかかります。今日朝起きてからの一日を早送りにしたビデオをおねーちゃんがチェックして、本当に何もなかったかの確認をしていますね……
おーっと、ここでおねーちゃん審判が手を上げました。
しろがね選手、呼び出されたのでおねーちゃんの元に歩み寄ります。
「きょうは、朝、ミートソースパスタを食べてましたね?」
「はい……」
「そのパスタソース、前に弟君が『普段はパスタソースは2人前しか売ってないのに、これは1人前が2袋入ってる!』って喜んで買ってた物ですね?」
「はい、間違いありません……」
「よろしい」
はじめて買ったソースでパスタを食べた、おねーちゃん審判がホワイトボードにつたない字で書いています。かわいいですね。
続いておねーちゃんはビデオをチェックして……おーっと、またです。
「きょうは、おねーちゃんの日だということを忘れてませんね?」
「……ごめんなさい、いま思い出しました」
「そんなことであやまっちゃダメ! イエローカード!」
ヒュゥン――
イエローカードが1枚どこからともなく飛んできて頭に刺さりました。
「いま思い出しました」
「よろしい。たしかに弟君は今日、午前中は小説の内容を考えて、午後はゲームをしていましたが……まだ一日は終わっていません! おねーちゃんが家でたくさんこねこねしてあげます!」
おねーちゃん審判がホワイトボードを掲げました。
・はじめて買ったソースでパスタを食べた
・おねーちゃんにこねこねされる日
会場の大型電光掲示板に「チャレンジ成功」の文字が光る。
おねーちゃん審判によって、今日この日は「何かあった日」になった……
……何の話をしていたんだっけ?
とりあえず今日は、前にいいなと思ってたパスタソースを使って朝ご飯食べてたんですが、それがめちゃくちゃうまくて……マ・マーの「あえるだけミートソース」というものです。一食あたりの値段も結構良くて、プライベートブランドのやっすい2人前パスタソースよりも節約&満足できているような気がします。
ああ、そういえば「マ・マー」って文字を見ると、頭の中でフレディ・マーキュリーが突然歌い出しません? 多分死ぬまで治らないと思うんですが、いつもスーパーマーケットで該当商品を見つけるとBohemian Rhapsodyが頭の中で流れ出して……
(フェードアウトしていく声)
(それを陰から見守るにっこりおねーちゃん)
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