第十四幕 31 『集う勇士たち』


 私とともに『黒き神の神殿』へ向うメンバー。

 その志願者は思いの外多かった。


 今、その志願者たちが王城の一室に集まっている。

 これからメンバーの選出を行うのだ。




 先ずテオは確定。

 彼もそこは絶対に譲らないだろう。


 当然ながら、大転移魔法の使い手としてミーティア(+ミロン)も外せない。


 すると、人数的にはあと5〜6人といったところか。




 その他の志願者は……



 ルシェーラ、シフィル、ステラ、メリエルちゃんの学園同級生組。

 志願者ではないけど、レティも一緒に来ている。


 ケイトリンとオズマの護衛コンビ。


 父さんにティダ兄、アネッサ姉さんを始めとしたエーデルワイスの面々。


 父様も一緒に行くなんて言ってるけど……流石にそれは無理じゃない?


 そして、シェラさんも同行を強く希望している。




 さて、どうしようか?

 転移魔法のキャパを考えると、流石に全員は無理だろう。




 取りあえずは……


「流石に父様は無理でしょう」


「……何故だ?」


「いや、何故って……派遣軍の総指揮官はリュシアンさんですけど、本国側で指揮をとる人も必要でしょう。母様だけでは大変ですよ」


「むぅ……」


「そんな子供みたいにむくれても、ダメなものはダメです」


「……仕方あるまいか。全く、15年前はただ暴れてれば良かったのだがな……ままならぬものよ」


 はいはい。

 立場を考えてくださいね。



 あとは……


「ケイトリンとオズマも連れていけない」


「……我々では足手まとい、でしょうか?」


 う……そんな悲しそうな顔をされると、こっちが辛い。

 しかし、心を鬼にして言わなければ。


「足手まとい…とまでは言わない。だけど、人数に制限がある状況では実力順に選ばざるを得ない」


「……そう、ですよね。あ〜、こんなことなら普段の稽古もサボらなければ良かったなぁ……ねぇ、オズマ?」


「お前と一緒にするな。ですが、実力不足という点では私も同じですね。役割を務められないのは口惜しいですが、仕方がありません」


 二人とも渋々ながら、納得はしてくれた様子。

 まぁ、こればかりは仕方がない。




 さて、残るは……



「父さんたちも残って欲しい」


「んぁ?何でだ?実力で選ぶなら俺らは外せねぇだろ。ここに至っては、公演がどうとか言ってられねぇぞ」


「カティア、お前を危険な場所に向かわせておいて、俺たちはただ待ってるだけなんて……そんな事、納得するような奴はウチにはいない」


「ティダの言う通りよ〜。少なくともダードさんかティダは連れてかないと〜」



 私の言葉が意外だったのか、父さんたちは口々に反論してくる。


 確かに実力で言えば、このメンバーの中では上位の方だとは思うけど……

 それより私は、エーデルワイスの皆にはアクサレナに残っていて欲しかった。



「……『黒き神の神殿』では何が起こるのか想像もつかない。残りの七天禍が集結しているかも知れない」


「だったら尚更……」


「だからこそ。必ずここに返ってくるんだ……って、強い気持ちを持っていきたいんだ。父様や母様もだけど、エーデルワイスの皆には……わたしの大切な家族たちは、私の『帰るべき場所』になって欲しい」


「「「……」」」


 私の想いを話すと、皆は押し黙る。




 そして……


「……何だか丸め込まれてる気がしないでもないがな。まぁ、お前がそう言うなら……な」


「カティア、絶対帰って来るんだぞ。エーデルワイスにはお前の歌が必要なんだからな」


「そうよ〜。早く戻ってこないと〜、アリシアちゃんが緊張しすぎて倒れちゃうわよ〜」


「うん。もちろん、必ず帰ってくるよ」




 さて、これで残るは……



「ルシェーラ、シフィル、ステラ、メリエルちゃん。私と一緒に来てくれる?」


「もちろんですわ!!」


「もちろんよ!」


「そのつもりよ」


「当然だね!」



 私に名前を呼ばれた皆は即座に答えた。

 皆、自分の意志でここに居るのだから、聞くまでもなかったかな?


 そして、レティは……


「カティア、みんな……私は戦いには参加できないけど、学園で待ってるから。みんな絶対に帰ってきてよね。平和になって、鉄道も開通したら皆にも乗って欲しい」


「もうすぐ開通するんだよね。式典には出席できるように頑張るよ」


 約束したからね。

 それを破るわけにはいかない。




「あとは、シェラさんも……お願いします」


「ええ。私にとっても因縁の場所ですからね。今度こそ決着をつけましょう」



 これで8人(+ミロン)。

 最終メンバーの決定だ。



「あら〜カイトくん、ハーレムパーティーね〜」


「……不可抗力です」


 あ〜、それは特に考えてなかったなぁ……




















「しかしアレだな。もうカティアは歴史で語られるようなヤツだと思うがよ、今度の戦いも正にそうだろうな。演劇にしてウチの公演でるのも良いかもしれん」


「恥ずかしいからやめてよ。……私にとっては、舞台に立ったり、学園で勉強したり、友達とお喋りしたり……歴史で語られることもない、舞台裏のありふれた日常こそが大切なんだよ」


「そうだな……よし、お前たち、行って来い!そして、全員必ずここに帰って来るんだ」


「「「はい!」」」



 さあ行こう!


 先ずはリル姉さんと約束した通り、エメリール神殿総本山から神界へ。

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