第十一幕 2 『神々の宴2』


「あら、カティア、テオフィルス…それにミーティアも。来てくれてありがとう」


「あ、リル姉さん……って、何してるの?」


 神々の宴会場にやって来た時に、姿が見えないと思っていたリル姉さんの声がしたので振り返ると…


 エプロンをして両手に大皿を運んでいた。

 なんだか給仕みたいな…


「見ての通り料理を運んでるのよ。あ、ほら、カティアも空いてるところに座ってね」


「う、うん…」


 取り敢えず言われた通りに空いてる場所……と言っても広々としているので適当なところに座る。


「あ、お姉ちゃん、手伝おうか?」


「ありがとう、リナ。でもこれで最後だから大丈夫よ」


 大皿を下ろしたリル姉さんも、私達の近くに座る。

 エプロンも外したみたい。

 …似合ってはいたんだけど、やはり女神様の格好としては違和感があったよ。


「今回は私が主催の番だったから、こうして準備してたのよ。……もう既に始まっちゃってるみたいだけど」


「はぁ……つまり、宴会の幹事役…だと」


「すまんなエメリール。俺には止められなかった」


 フライングを止められなかった、とディザール様が謝る。


「ふふ、いいのよ別に。こうして全員が集まるのは中々ないから……カティアも楽しんでいってね」


「お姉ちゃん、その前に紹介しないと!」


 そうだね。

 初対面の方が多いのだし…

 相変わらずのうっかりさんだね。


 ここは私から自己紹介しよう。


「えっと、皆さん始めまして。私はリル…エメリール様の眷族でカティアと言います。よろしくお願いします」


 パチパチパチ、と拍手される。

 何か照れるなぁ…


 続いてはテオが挨拶する。


「私はリヴェティアラ様の眷族で、テオフィルスと申します。まさか12神の方々にお目にかかれるとは……誠に光栄なことです」


「うふふ〜、みんな、私のテオちゃん良いオトコでしょ〜」


 リヴェティアラ様がテオに腕を絡ませながら自慢げに言う。

 って言うか、近すぎだよ!!


「何かよ、オメーの眷族とは思え無ぇな。ノリと言うか…真面目そうなところがよ」


「何よオキュピー、それじゃあ私が不真面目みたいじゃないの」


「オキュピーはヤメロ」


 …仲良いね。



「え、え〜と…あと、そこでリリア姉さんに餌付けされてるのが、ミーティアです」


「あむあむ……んにゅ?」


「うむ。良い食べっぷりだな。こっちも美味しいぞ」


「わ〜い!ありがとう、リリアお姉ちゃん!」


 程々にしておいて!?














「じゃあ、こちらも紹介するわね。え〜と、テオフィルスはリリア姉さんやオキュパロスに会うのは始めてかしらね」


 リリア姉さんには私とミーティアが、オキュパロス様には私しか会ったことが無かったね。



「うむ、では私から。エメリールとエメリナの姉でエメリリアと言う。カティアやミーティアは私達の妹分だからな。これからもしっかり護ってくれると嬉しい」


「はい、もちろんです」


 先ずはリリア姉さんが挨拶して、握手も交わす。





 そして、次はオキュパロス様。


「俺ぁオキュパロスってんだ。テオっつったな。確かスオージの森の時もいたんだっけか。あん時ゃカティアの他にもシギル持ちが居たのにゃ気付かなかったぜ」


「あの時はご助力頂きまして、ありがとうございました。おかげでこうして生き延びることができて…感謝してもしきれません」


「何、ちょうどタイミングが良かったからな。俺ぁほんのちょっと手助けしただけだ。…そういや俺の眷族も世話になったみてぇだな。今後もよろしく頼まぁ」


 そう言えば、イスファハン王子はオキュパロス様の眷族だったね。

 言葉使いは全然違うけど、何となく見た目と性格的なところは似てる気がする。







「それじゃあ、次はワシかのぉ。ワシはオーディマじゃ。人間からは『技巧神』などと呼ばれておるの」


 オーディマ様は、喋り方はお爺ちゃんみたいなんだけど……見た目的には他の神様よりも若い……と言うか少年の姿だ。

 リナ姉さんよりも幼く見える。

 ギャップが激しいけど、なんだかホッコリする。


「お前さんの友人に中々面白い者がおるの。確かレティシアと言ったか…」


「え?レティをご存知なんですか?」


「うむ。あの娘は様々な興味深い道具を生み出しておる。特にあの『鉄道』というのは素晴らしいな。人間世界は一気に時代が進みそうじゃの」


 なるほど。

 技巧神と言われる方だから興味があるのか。

 確かにあの娘は時代の寵児だろうね。







「次は私かしら。始めまして、私はパティエット。人間たちからは『月の女神』なんて言われてるわ」


 パティエット様は白銀の髪に空色の瞳の美女。

 やはり眷族であるステラとは色彩が同じで、その落ち着きのある雰囲気も含めてよく似ている。



「私の眷族とは随分仲良くしてくれてるみたいね。ありがとう」


「いえ、こちらこそステラにはいつもお世話になってます。私にとって彼女はかけがえのない友人です」


 私のその言葉に、嬉しそうに目を細めて柔らかく微笑む。

 う〜ん…凄く綺麗で大人の女性って感じ。

 ステラも将来こんな感じになるのかな?


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