第47話:プレオープンをしてみた!




 プレオープンで冒険者ギルドの綺麗どころを窓際に並べた。

 そして可愛くカフェメニューを食べるのかと思いきや、彼女達はガッツリ肉食だった。


 ステーキにハンバーグとミックスフライに唐揚げ大盛り。

 エビピラフにチキンライスに、ドリアにチャーハン。

 サラダも大根サラダとシーザーサラダを頼んでいた。

 テーブルに載らないかと思ったよ。


 因みに来たのは四人である。

 おかしい。エルフは居なかった。

 美味しそうに食べてくれたから、宣伝効果バッチリなのは間違い無いけどね。



「今日はプレオープンなので無料ですが、実際に食べていたらこの金額です」

 メニューに金額は書いてあるけど、一応レシートを見せた。

 今はスイーツを食べている受付嬢達。

 俺から受け取ったレシートを見て、目を見開いた。


 この世界の相場とか、仕入れ値とか、利益率とか、ナビ達とアザトースと相談して決めたんだけど、高過ぎたかな?


「え?安っ!レストランよね?酒場じゃなくて」

 まぁビールも出すけど、ファミレスだからレストランだな。

「全体的に少なくとも1割、出来れば2割値上げしないと、周りの店に恨まれちゃうわよ?」

 え?まさかの安くて怒られるパターン?


「大衆酒場並の安さで、並のレストランより美味しくてメニューが豊富」

「店内も綺麗で、給仕係も可愛い」

「他の店に客が入らなくなっちゃうでしょ?」

「これで酒類が豊富だったら、冒険者の溜まり場になるわよ」

 ファミレスだから、この世界の大衆食堂を基準に値段設定したんだけど、そもそも間違ってたらしい。



 ボタニカル側に招待した、アハルト宰相と魔法長、ファランさんとワカティさんにもレシートを見せた。

 レシートの長さは、受付嬢達の3倍は長い。多分、メニュー全制覇したな、これ。

 そして、やはり同じ事を注意された。


 アザトースに値段が安すぎるって怒られた事を伝えたら、「また毒されてた」って凹んでた。

 俺達にとっては、毎日皆で食べてる食事で、特別な料理じゃないもんなぁ。


 ファミレス側に連絡をとって、皆の仕事の様子を確認した。

 住人全員分の食事を常に作っているので、特に問題はないそうだ。

 どちらかというと、使った後の食器を食洗機に入れるのと、食洗機から取り出して仕舞う方の手が欲しいそうだ。

 それならば、特に特殊な能力も要らないので、まだ仕事が決まっていない獣人の中から希望者をつのろう。



 プレオープンの客役には、知り合いの少ない俺の伝手では不安なので、アザトースやボールスの友人も呼んでもらった。

 1番のターゲットである冒険者が居ないのが残念だが、贅沢は言えないな。

 魔道具はまだ売れないが、テスターを置いてあるのでそれを試してもらった。


「このテスターってのは、これからも置いてあるのか?」

 騎士に質問された。ボールスの知り合いだろう。

「はい。どんな物か試したいでしょ?」

 あれ?眉間に皺を寄せている。

「盗んでくださいって言ってるようなもんだろう」

 あぁ、そっちの心配ね。

「では、盗もうとしてみてください」

 テスターを手渡し、出口を指差した。



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