第24話:奴隷購入!……しなかった




 希望に当てはまる奴隷を連れて来てもらった。

 俺の想像していた恰幅かっぷくの良い肝っ玉母さんタイプは居なかった。

 ちょっと残念。


 積極的にグイグイくる二人と、いかにもしょうがなく来ました~みたいな三人。

 そして、選ばれたいけど迷っている一人。


 とりあえずやる気の無さが滲み出ている三人には、退場してもらった。

 元々地位のある人の家で働いていた実績があるらしく、こちらを見下していたみたいだな。

 まぁ、こちらも本性が知りたくてわざとラフな服装で来てるけどな!


 残った三人は、甲乙付け難かったので、最終判断はシロとラッキーに託した。

 そう。ご対面である。



 全身は無理なので、シロとラッキーには床から顔を出してもらった。

 やってから気付いたんだけど、全身出ているよりもインパクト有り過ぎる。

 怖いよな。

 アザトースとボールスも引いてるし、奴隷商店主は……ソファに座って目を見開いたまま気絶してた。


 積極的だった二人のうちの一人も気絶した。

 ゴメン。

 奴隷商で得た情報は、奴隷じゃなくなっても漏らせない制約があるので、彼女には退場してもらった。


 残る二人は、ちょっと青褪めてるけど大丈夫そうな一人と、目がキラキラしてる一人。

 え、何かさっきまで迷ってた人だよね?

 何か、料理人二人に通じるモノを感じるんですけど!?



 この二人に決めようとしたら、やはりあの女性が辞退を申し出て来た。

「申し訳ありません。家族に背中を押されて来たのですが、やはり家族で購入してくださる所に行きたいのです」

 成程なぁ。家族で奴隷落ちしたのか。


 話を聞くと、元々従魔の貸し出し業をしていたらしい。

 しかし旦那の実兄の借金のせいで、一族郎党借金奴隷になったそうだ。

 一族郎党って、どれだけの金額よ。

 旦那と息子と娘には従魔がいるそうで、そっちの血筋が獣魔術師のスキル保有なのだろう。



「じゃあ家族ごと来ちゃえば?」

 俺が軽く言うと、奴隷の二人は驚き、アザトースには口を塞がれた。


「馬鹿野郎。従魔術師の奴隷なんていくらすると思ってんだよ」

 え?高いの?

「おそらく大人が白金貨2枚、子供が1枚ずつで合計白金貨4枚だよ」

 大丈夫!それくらいなら有るから!


 実は翻訳で貰った白金貨1,000万5枚の他に、実験で調薬して白金貨1,000万3枚貰ったのだ。

 あの屋敷が約3,000万だったから、まだ5,000万残ってる。


「そもそも従魔術師の奴隷は高いから、買うのではなく借りるのが普通だ」

 ボールスが説明してくれた。

 希少な従魔術師な上に、奴隷だから秘密保持が完璧なので色々重宝されるそうだ。

 従魔術師で多いのは、ギャンブルによる借金奴隷だそうだ。

 なまじ稼ぎが良いから、のめり込みやすいとか。



 使える奴隷なら、高くても良くない?

 それに自分の借金じゃないなら、性格的にも信用も出来そうだし。

「まぁ、実際に会ってから決めるけどね」

 出来れば従魔達にも会っておきたいかな。


 因みにもう一人の女性は、別れた旦那の借金が理由だそうだ。

 離婚していたはずだったのに、旦那が提出した離婚届が偽造書類で離婚できていなかったとか。

 奴隷落ちした時に、正式に離婚は出来たけど、借金は消えなかったんだって。

 世知辛い。

 元旦那は犯罪+借金奴隷なので、一生奴隷決定だそうだ。

 自業自得。



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