第11話:急性期と慢性と、お薬
本日翻訳したのは、七草粥かと思った『胃薬』の他に『鎮痛剤』『消炎剤』『解熱剤』『咳止め』『総合感冒薬』『筋弛緩剤(弱)』『抗不安薬』『睡眠導入剤』など、どこかで聞いた事のあるファンタジーらしくない薬ばかりだった。
ポーションで怪我が一瞬で治る!とかの方が凄い気がするが、既存のポーションでは病気や慢性の痛みは治らないそうだ。
急性期の怪我のみに特化なのは、魔法も一緒らしい。
因みに、本来ポーションとは水薬全般を指す名称だけど、一般的に傷を治す物をポーションと呼ぶのだとか。
この世界は殆どが水薬だから、『傷用ポーション』とか『胃痛用ポーション』など効能が正式名称になる。
長い。
余談だが、休憩時間に適当に開けたページには、麻痺薬や毒薬もあった。
これは戦闘で使う用なのだろうが、翻訳する時にもう一度相談だな。
悪用されたら嫌だし、悪用された時に俺が疑われるのも嫌だ。
「そういえばヨッシー様は、調薬と調剤の両方が出来るのですよね」
休憩中に皆でお茶をしていたら、ファランさんに話し掛けられた。
「え?調薬と調剤って違うんですか?」
言われてみれば、スキルも
「調薬は薬を作る事で、先程の作業がそうですね」
あぁ!乾燥した薬草をすり潰し、攪拌して薬にしたあの作業か。
「調剤は、既にある薬を合わせて新しい薬にする事です。これもスキルを持っている人が魔力を込めながらでないと出来ない作業です」
なるほど!地球の概念にある調剤とは別物なのか!
そもそも調薬も、こっちでは意味が違うもんな。
〈何か疑問が有りましたら、私共に質問してください〉
アートモに怒られた。
いや、だって何も疑問に思わなかったからさ。
休憩後は、外用薬の作成実験を中心に行った。
痛み止めの塗り薬が、バン◯リンみたいなのを想像していたら、タイガーバ◯ムだった。
鼻の通りが良くなったよ!
そして実はこの匂いが結構好きだったりする。
ばぁちゃん家にあって、子供の頃はよく鼻の下に塗られたんだよ。
そして消臭剤の効きが良過ぎて怖かった。
例えるなら、シュールストレミングを開けた部屋に消臭剤を置いたら、臭いが消えちゃうレベル。
いや、勿論、物がある間は薄れるくらいで無臭にはならないよ。
でも残り香なら、完全に消えちゃう。
これ、犯罪とかに悪用されるレベルだな。
「もう少し効果を下げないと、
先生も同じ意見だった。
塗るタイプの消臭剤は、女性冒険者が喜びそうだとワカティさんが言っていた。
でも俺は、男性冒険者にこそ使って欲しい。
洗濯物の生乾き臭と、汗の乾いた酸っぱい臭いが混じったら、本当に地獄だぞ。
そこに加齢臭も入ってみろ。殺意が湧くレベルだ。
満員電車でそんなオヤジが隣に立ったら、遅刻しても良いから電車を降りようかと本気で悩むぞ!
ファンタジーによくある
〈ヨッシー様なら、魔力量も多いし問題無く使えますよ〉
〈野外でエッチすんのに役立つぞ!〉
やらねぇわ!
しかし、この『浄化』を俺はすぐに使う事になる。
聞いておいて良かった!と本気で思うのだが、これがフラグという物なのかもしれない。
あ、青姦じゃないからな!
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