第38話
「まずはゴミ掃除だ。この中で強そうなのは、お前か」
クグツが俺を見た。
「全紋章トラップ発動!」
部屋のいたるところからダストの時とは比べ物にならない数の紋章が発動し、魔法弾と属性魔法が俺を襲う。
俺は魔法防御力が低い。
そしてこの攻撃はすべて魔法攻撃だ。
ゲット 人族 男
レベル: 51
HP: 510 SS
MP: 357 B
物理攻撃:306 C
物理防御:510 SS
魔法攻撃:510 SS
魔法防御:204 E
すばやさ:356 B
固有スキル:炎強化
スキル:『メイスLV49』『盾LV42』『ファイアLV52』『ハイファイアLV41』『エクスファイアLV41』『ヒールLV27』『リカバリーLV9』『トラップLV22』『宝感知LV19』『ストレージLV29』
武器 炎のメイス:250 炎魔法+30%
防具 守りの円盾:150 HP微回復 赤のローブ:90 ハイブリッドブーツ:60
エステル:好感度61
魔法防御の才能は『E』だ。防ぎきれるか!!
俺は身構えた。
壁と床から魔法攻撃が飛んでくる。
俺を狙うと言うより、雨のように範囲を広めて魔法が放たれる。
避けることが出来ないように集中せず、あえて範囲攻撃を仕掛けてきたか!
「ヒール!」
ガードを固めながら回復魔法を使う。
俺は何度も魔法弾を受け、地面がえぐれ、地面に穴が開くほど攻撃を受けた。
俺は魔法攻撃を受けながら城の地下に落ちていく。
【クレア視点】
紋章トラップの攻撃が止むと、土煙が薄れていく。
地面に穴が開き、ゲットはいない!
「ひっひっひ!奴は炎のメイスを持っていた。
エクスファイアの使い手は奴だろう。
帝国の脅威を一つ潰してやった。
そしてお前らのその顔、ひっひっひ、エースが私によって簡単に倒されて絶望しているのだろう?
次に強そうなのは、クレアと、猫族の娘か。
お前ら2人を倒し、クレアを貰う。
そしてここで兵を返り討ちにすればしばらくはクレアで楽しめる。
ひっひっひっひっひっひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
ゲットは私を助ける為に無理をして切り札のエクスファイアを何度も使った。
エクスファイアをクグツに使えればこんな簡単な結果にはならなかっただろう。
私のせいでゲットが倒された!
「クレア、前を向くのですわ!」
「エステル、さま」
「ゲットはまだ生きていますわ。アリシアがゲットの気配を感じていますの、わたくしとアリシアが地下に行ってゲットを助けますわ。幸いここに戦力が集中していますのよ」
「まだ、生きているのですね」
「生きていますわ!」
「私が、時間を稼ぎます!」
私がクグツを引きつける!
私が皆の士気を高める!
間に合わないなら、私を犠牲にしてでも時間を稼ぐ!
「ふむ、まだあきらめていない者もいるか。ガーゴイル!魔物達!女兵士!すべてに命じる!クレア以外を皆殺しにしろ!」
「あきらめてはいけません!数の上ではこちらの方が勝っています!ゲットのエクスファイアが多くの敵を倒しました!いつもの訓練と同じように戦うだけです!武器を取りなさい!!」
兵が武器を持って敵に立ち向かう。
乱戦が始まり、こちらが押している。
「ひっひっひっひっひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!勝てると思っているのか!?私がいるのにいいい!?六将たる知略のクグツがいるのにいいいいいい!?ひっひっひっひいいいいいいいいいいい!!しゃああああああああ!」
クグツが双剣を取り出して兵士を3人斬り倒した。
このままではクグツの力に飲まれて全滅してしまう。
私がクグツを止める、私が止める!
「私が相手をします!」
「ほお?まだ体が回復していないはずだが……私の動きを見てまだ立ち向かおうと言うのか?」
「私しかいませんから」
「ひっひっひ!わざわざ捕まりに来てくれるとは有り難い事だ!アイアンレッド帝国の六将がどうやって選ばれるか知っているか?」
「いいえ、今は関係ありません」
「まあ聞け、アイアンレッド帝国の人口はこの国の約10倍だ、それだけの人口を抱えている。帝国の人材は数が違うのだ。その大国で競争し、優れた者が選ばれ六将になる。つまりどういう事か分かるか?」
「いいえ?分かりません」
「ひっひっひ、質が違うのだ!より多くの人をふるい落とした末に残るダイヤの原石、それをさらに磨き上げ、さらにその中から最高の宝石を厳選する!それが六将だ!私は魔法だけの病弱とは違う!もちろん知略だけの弱きものとも違う!私の知略を突破されても紋章魔法を使って戦う!それが突破されてもこの双剣で戦う!何が起きてもどんな不測の事態に陥っても私は戦える!そうやって六将の地位を手に入れてきた!」
分かっている。
私はクグツに勝てない。
クグツの動きを見て分かった。
私がたとえ万全でも、剣術だけだとしてもクグツには勝てない。
私はそれでも、前に出た。
体は、大分動くようになった。
「ほう?前に出るか。いい。その心を堕とす!!」
「勝負です!」
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