第16話 盗賊逮捕(5)

~ゴブキチの視点~


「来いブヒ!『肉塊ロボット スモークマン』!」


相手がそう叫ぶと、森の奥からゴゴゴゴゴという何かが開くような音が聞こえてきました。何ということでしょう。ピグルズという盗賊を追い詰めることができたのはいいものの、奥の手を隠していたのを見抜けず、新たな戦力を増すという失態を犯してしまいました…。


「ゴブキチよ。そんな顔をするでない。まだ短い期間しか一緒にいないが主殿はそのような小さき問題で起こるような器の小さいお方ではないわい」


なんと鈍感で有名なゴブノスケにわかってしまうほど顔に後悔が出ていたようですね。私としたことが我らが主リュウジ様に限ってそんな器が小さいお方であるはずがありませんよね。追い詰められて少し自己嫌悪に陥ってしまいました。


「少し落ち着きを失っていたようですがもう大丈夫です。一刻も早くこの敵を捕まえてリュウジ様の元へ急ぎましょう」

「それでこそゴブキチであるぞ。さあ、始めようかのう」

「ふん。お前らが思っているほどこのスモークマンは弱いないブヒよ。俊足の兎死団のアジトを襲ったこと、後悔させてやるブヒ!おいミロモ!さっさと起きてパターンCを決行するブヒよ!」

「ブモォォォォォォォ!!!!」


ちっ!

倒したと思っていた牛男も仕留め切れていなかったようですね。

やはり相手の強さはこちらが思っていたよりも上をいっているようです。


「スモークマン、「「合体!」」ブヒ!」


そういうとミロモとピグルズは懐から白い何かを取り出して腕に取り付けました。

すると、森から腕に刻印を押された男たちが馬車に連結する荷台のようなものを運んできた。そして、人の下半身のような形になると、牛男と豚男は腰の辺りに飛び乗りました。


「あれは何なのであるか?」

「馬車の荷台…でしょうか」

「ブッヒブヒブヒブヒ。お前らみたいな木の棒を武器にするような弱小種族にこのピグルズ様の大発明を理解できるわけがないブヒ」

「ふんっ!さっさと説明しろ!」

「馬鹿な奴ほどせっかちな奴が多くて困るブヒがまあいいブヒ。これこそがスモークマンの下半身となるパーツで、普段は荷馬車としても使える便利グッズブヒ。ドワーフの町『ズワール』で最近新しく見つかった接続超合金『メモリタル』をふんだんに使った最新式の大発明ブヒ!まだ作成途中ブヒが十分戦闘に使えるブヒよ!」


ああ、確かにそんなことを通りすがりの商人が話していましたね。

設定した動きを魔力で動かせることのできる金属でしたか。何に使うのかわかりませんでしたがこのような場合に使うのですね。ですがただ形が変わるだけの金属で戦闘の有利不利は変わらないと思いますがね…。


「今絶対『こんなの役に立たないだろ。』って思ったブヒね。その考え、撤回させてやるブヒよ!」

「オレサマ、難しいこと、わからない。でも、これ、ピグルズの大発明。お前たちには、負けない!」

「行くブヒ!『アースクウェイト』!」


豚男がそう言い放つと、荷馬車?の下半身は右足が振り下ろし、大きな音と共に地面を抉った。


「なんと!地面が抉れてしまったわい。とんでもなくバカ力じゃのう…」

「ですが、それまでです。当たらなければ何も問題ありません。さっさと終わらせてしまいましょう」

「その余裕な態度がいつまで続く見物ブヒね。ミロモ!こっちこそさっさと終わらせるブヒ!」

「ブモォォ!!」


あの無駄にでかい体をどうするれば倒せるのか。これが重要です。

無駄にホイホイ近づいて行けば上にいる2人に倒されてしまうでしょう。

さて、どうするべきですかねぇ…。


「ゴブキチよ!あやつのパワーと吾輩のパワー、どちらが強いのか力比べをしてみたいぞ!」

「馬鹿な事を言わないでくださいよ!地面を抉るような力の相手に力比べを挑むなんて子供でもやりませんよ!」

「子供には力比べのすごさがわからないだけではないか?力比べこそこの世の全ての娯楽の中で1番楽しいのになぜそれがわからんのだ」

「力比べの何が楽しいのですか!この戦闘をさっさと終わらせてリュウジ様の元へ行くとさっき言ったばかりなのになんで1番時間がかかる方法を選ぶのですか!」


このわからずやはたった今ここで私とけんかをし始めやがったんですよ!


「ブッヒブヒブヒブヒ。こんなところで仲間割れとはいい御身分だブヒね。でも安心するがいいブヒ。お前らがそのリュウジとかいう奴の元に戻ることは金輪際ないブヒよ!」

「「うるせぇ!黙ってろ!」」

「ひっひぃぃぃ!!!」

「ブモ?」


うるさい豚が何かをほざいていたのでついついファイヤーボールを打ってしまいました。ゴブノスケも切りかかっていたのでまあいいでしょう。


「ゴブキチよ。こやつらの相手をしていると疲れる。力比べはもういいからもうさっさと終わらせてしまおうぞ」

「それをさっきから言っているではないですか!」

「ごちゃごちゃうるさいブヒ!お前らが死ぬのは決まったいるんブヒからさっさとかかってくるブヒ!」

「オレサマたち、負けない!みんなで、帰る!お前ら、帰れない!」

「言われなくともかかっていきますが死ぬ気はありませんよ。」

「吾輩も同意見である。ふんぬっ!」


ゴブノスケが下半身もどきの右足に切りかかった。

下半身もどきは体勢を少し崩しても倒れることはなかった。


「むぅ。無駄に防御が硬いのであるな。ゴブキチ!どのようにすればいいかのう」

「あの乗っているあの腰らへんから2人を落とせばあのロボットを止められると思いますよ」

「ブッヒブヒ。それができないから大発明なんだブヒ。さあ、進むブヒ!」

「吾輩にかかれば転ばすぐらい簡単なことじゃわい。【小鬼流・大岩潰し】!」


ドッスーーーン!!!!


ゴブノスケが【小鬼流・大岩潰し】を使って地面に無理矢理段差を作ってこちらに進んできた下半身もどきを転ばせた。さらに、どこからともなく白い霧が出現して、辺りを包み込んだ。


「ブッヒィィィーーーー!!!な、なんということだブヒィィ――!!!す、スモークマンが倒されてしまうなんて、前代未聞だブヒィ―!し、しかもショートして煙まで発生してしまったブヒー!」


煙が発生したのは予想外でしたが、目的の相手2人を上から落とすことはできたので

今度こそ我々の勝利ですね。


「今度は油断しません。『アースウォール』、『アースボール』!」

「ブヒッ!」

「ブモッ!」


今度こそ気絶したようです。次からは敵がきちんと気絶しているのか確認してから勝利の喜びを味わいましょう。


「ガッハッハッハッハッハ!吾輩たちの勝利であるな!もう誰にも負ける気がせんわい!」

「そういう油断がさっきのようなことを起こすのですよ!もっと気を引き締めて行動しなさい!」

「そういうおぬしもうれしそうな顔をして居るが?」

「……気のせいですよ」


……まあ、勝ててよかったですよね。


~~ゴブノスケ&ゴブキチペア 俊足の兎死団 ミロモ、副団長 ピグルズ撃破!~~

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