サブマスター トーマス
街に錬金術師が誕生しました。
バーナード君です。
上級職『高位錬金術師』のレベル52。
ダンジョン街の瞬間レベルアップシステムに利用している『デスハウリング』も作れるようになりました。
でも、まだまだ僕の作る『デスハウリング』より性能が劣る。
僕の作ったアイテムなら5個でもモンスターハウスのモンスターを全滅できるけど、バーナード君のアイテムだと、安全面を考えると10個は使っておきたいね。
注意点として、デリアン一家にお伝えしました。全滅していると思って入ったら、モンスターに襲われたなんてなったら、洒落にならないからね。
「ウィル先生、よろしいですか。」
「どうしたんですか?」
「街がかなり落ち着いてきたので、そろそろ街道整備を始めたいと考えています。ウィル先生の考えをお聞かせ頂けませんか?」
「そうだね。
基本的にはミル達に任せるよ。
僕としては、
ダンジョンの周辺に街を作りたいな。ダンジョン街の住人向けではなくて、外から来た商人や冒険者向けの施設を用意したいんだ。
それと、これから街が発展する可能性があるから、街道は馬車がすれ違える程度の幅は欲しいな。」
「それ、普通ならハードルが高過ぎると言われる注文ですよ。
ダンジョン街には上級職の木こりや大工が数名おります。なんとかなるでしょう。
優先順位はどちらを上にしましょうか?」
「街道だね。そこで伐った木材を貯めて置けば、街作りに使えるでしょ。
それに道が通ってないと、街を使う人も来ないしね。」
「わかりました。ただ街道整備には問題があります。森には野生のモンスターが出るので、木こり達を守る護衛が必要です。」
「みんなレベル50以上なんだよね。しかも木こり系の職業なら戦闘職並の力があるだろう。護衛なんて必要なのか?」
「ウィル先生の感覚はズレています。彼らは確かにレベルは高いですが、戦闘経験がまったく無いんです。戦えば簡単に倒せるモンスターでも、恐れて腰が抜けて動けなくなったり、逃げ出したりしてしまうんです。
戦闘に慣れていて、木こり達を落ち着かせられるベテランの冒険者が必要です。」
「それならバルベンの街でスカウトしてくるよ。」
ということで、バルベンに転移してきました。
冒険者のスカウトなので、冒険者ギルドのサブマスター、トーマスに相談することにしました。
窓口のモニカさんにお願いして、応接室で待たせてもらった。
しばらくすると、
「すまない、待たせたね。」
「いや、今日は突然押しかけたからね。時間を作ってくれて、ありがとう。」
「ウィルさんのお願いなら最優先しますよ。」
「ホント、トーマスさんって商人に向いてると思うよ。」
「自分でも冒険者より向いてると思いますよ。それで今日はどうされたんですか?」
「実は辺境にダンジョンを見つけてね。それでダンジョンの周辺に街を作りながら、街道を作ることにしたんだ。
街道整備の護衛を任せられるベテラン冒険者を探してて、トーマスさんに相談したかったんだ。」
「ち、ちょっと待ってください。
少し整理させてください。」
「何かわからないところあった?」
「まずダンジョンの場所と規模をお教え頂けますか?」
「ドラクロア伯爵領の未開地にあって、階層は『見果てぬ塔』より少ないけど、ドロップアイテムの幅広さはいい勝負だよ。」
「ほう。
では、未開地のダンジョン周辺に開拓村を作りながら、すでに整備されているエリアまで道を作る、という認識で間違いないですか?」
「そうだね。」
「雇われた冒険者がその開拓村に住人として受け入れて頂くことは可能ですか?」
「人によるかな。信頼できる人ならいいよ。そのまま村の警備をしてもらっても、冒険者としてダンジョンに挑んでもらっても、農民に転向してもらっても自由だよ。」
「有難うございます。それなら希望者は多いと思いますよ。ですが、ダンジョンのことはまだ非公開なんですよね。」
「そうそう、道がある程度出来てから、ダンジョンのことをドラクロア伯爵に報告して、冒険者ギルドに報告する予定だから、今の段階で情報が広がるのは困るな。」
「そんな話を聞かせて頂き、ありがとうございます。それなら前回ランクアップの時に戦ったパーティー『鋼の意志』はいかがですか。彼ら、特にリーダーのディーンは引退を考えています。すべての条件を満たしていると思います。」
「こっちとしては願ったり叶ったりだよ。でもいいの?ディーンさんって優秀でしょ。もっと他に良い条件の仕事がいくらでもあるでしょ。」
「確かに短期的に収入の良い仕事はあります。ですが、ベテランになればなるほど、引退後を見据えた仕事を選ぶ傾向が強いです。優良なダンジョンがあるなら、街が発展する可能性が高いですからね。そんな街で引退後の仕事が確保できるなら、喜んで働きに来ますよ。」
「じゃあ『鋼の意志』のメンバーに声をかけておいてもらえますか。」
「わかりました。集めましょう。明後日の朝、もう一度いらしてください。」
「よろしくお願いします。」
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