古事記をそれほど知らないので、プロローグで異様な存在が登場したときは、どんな神々の黄昏になるんだろうと思いました。
一章に入って、楽しげな竜宮訪問からの地上での決戦へと向かうストーリーを追ううち、七柱それぞれが特徴あるスキルの持ち主であることが分かって来て、アイアンマン、ソー、ハルク、ホークアイなどアベンジャーズに当てはめながら読みました(どの柱がどれかはご自分でどうぞ)。
古事記を知っている人はその異説として十分楽しめると思いますし、
知らない人は七柱をアベンジャーズだと思うと爽快なストーリーをより堪能できると思います。
そしてそのどちらの場合でも、最後に辿り着くのは、
「懐かしさ」
幼い頃おばあちゃんから聞いた昔話を思い出すにちがいありません。
面白いです。一読をお勧めします。
最後に一言、ヒルコ、そのスローガンはもういいぜ。
(第一章までの感想です)
ありえたかもしれない歴史を考えながら、本作品を堪能するのも、贅沢な楽しみというものだ。例えば、本作品には、先住のヤマトの人々が出て来るのだが、その人たちは、卑弥呼の子孫なのか?など。
卑弥呼の邪馬台国が北九州にあったのか、関西にあったのかはひとまず置くとしても。ただ、邪馬台国は恐らくヤマト国と読むべきと想われるのである。なぜなら、往時の国(や諸勢力)は、イズモ、アソ、ハヤト、イトと「お」の音を末尾に持って来るのを特徴とするのであるから・・・・・・などなど、いろいろ考えると楽しいのである。
お後は本編にて!
日本の神話に登場するヒルコ。彼はイザナミとイザナギが最初に生み出した神であると同時に、捨てられた不遇の子供だった。
そして人間の生と死に関わるコノハナサクヤヒメと、イワナガヒメ。コノハナサクヤヒメを選んでしまったがために、栄華を享受するも短命となった。しかし、本当に結婚すべきは、醜くも永遠の命を保証するイワナガヒメだった。イワナガヒメもまた、不遇のヒメだった。
そんな不遇の運命をたどったヒルコとイワナガヒメが、もしも結婚していたら日本神話はどうなっていたか?
この作品は、そんな大胆なifから始まる物語だ。
ヒルコは復讐の鬼と化し、様々な場面で神々や人々の邪魔をする。特に人を鬼に変える魚の存在は厄介だった。元々人間だった鬼たちと、その復讐心に対抗する神々と人々の戦いは、激化していく。
権謀術数の戦いに、未来はあるのか?
果たして神々は、人々は、どうなってしまうのか?
是非、御一読下さい。