第88話 学年末考査
本作を読んで頂いている読者の皆様、大変ありがとうございます。
また私の作品に多くのご感想を頂き大変ありがたく思います。
ご感想は読者様が話毎に感じられた思いを色々と書いて頂いていると思っています。
登場人物に対する色々な思いが言葉に現れており、楽しく読ませて頂くと共に次作品の構想などを考えている時に大変参考にさせて頂いております。
どう表現したら読者様が喜んで読み続けて頂けるかと。
ご感想は読者様の自由投稿です。何を書いても自由ですが、あくまで作品に対するご感想で有ればと思っています。
宜しくお願い致します。
同様の内容を近況ノートにも書かせて頂いています。
PS:文頭でこういう事書くと白けちゃいますけどごめんなさい。
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俺立石達也、月曜から始まった早苗との勉強会。範囲が広くて大変だ。特に学年末考査は、一年の総復習も兼ねての範囲だ。もう少し減らしてほしいものだ。
でも早苗と一緒にやる事で土曜まで七割の復習を終わらすことが出来た。俺一人なら半分がせいぜいだろう。
そして日曜日、俺と早苗そして玲子さんの三人なので俺の家のリビングでやる事にした。玲子さんの帰りは俺が送るという事で沖田さんには帰って貰っている。
早速玲子さんが
「お二人でどの辺まで復習終わらせていますか?」
「ああ、各教科とも七割位だ」
「そうですか。残り三割は今日終わらしてしまいましょう」
「ちょっと立花さん何言っているの。今日一日で残り全部なんて無理に決まっている」
「大丈夫ですよ。早速始めましょう」
カリカリカリ。
カリカリカリ。
カリカリカリ。
午前十時から始めた事も有るが、教科毎に残り三割分を片付けたので、午前中二時間で残り六教科だけになった。このペースでやれば確かに午後には終わる。やはり玲子さんは教え方が上手い。
私桐谷早苗、悔しいけど学力は立花さんの方が上だ。それに教え上手。上手く達也の理解を引き出している。私では同じ事が出来ない。
「達也、お昼にしない。ちょっとキッチン見て来る」
ふふっ、こんな事玲子さんには出来ないでしょ。
早苗がキッチンに行った後、
「桐谷さんは達也さんの家を良く知っているんですね」
「まああいつは物心ついた時からいつも一緒だったからな。この家も自分の家と同じだろう」
「そうですか」
悔しいです。でもその内私も…。
「達也、お母さんが、準備出来ているからダイニングに来てって」
早苗の奴、また意図的に言ったな。
俺達が、ダイニングに行くと三人分が揃えられていた。テーブルに二対一で置いてある。
「皆さん、勉強お疲れ様。消化の良い物を作ってあるからいっぱい食べても大丈夫よ」
「お母様、ありがとうございます」
おい、玲子さん。
「お母さんありがとうございます」
早苗も全く。
「あらら、嬉しいわ。二人からお母さんって言われて」
「母さん、調子に乗らない!」
「良いじゃない達也。私は嬉しいわ。皆さんゆっくり食べてね。食べ終わったら食器はシンクに入れて置いてくれればいいわ」
「「ありがとうございます」」
全く母さんも燻ぶっている火に風を送ってどうするんだよ。
俺と早苗が同じ並びで俺の前に玲子さんが座った。何故か早苗が不満顔だが。
「早苗、玲子さん食べようか」
「うん、頂きます」
「はい、頂きます」
俺達は食事が終わった後、少し休んでから始めた。早苗が食器を洗うと言い始めたが、玲子さんも私が洗いますとか言い始めたので、本当に止めて貰った。どっちがやってもトラブルの原因だ。二人は納得がいかない様だったけど。
それから午後七時まで午後三時と午後五時の三十分間休憩を入れて復習したが、玲子さんの朝の言葉通り残っていた全教科の残り三割の復習が全部終わった。
「ふふっ、達也さん終わりましたね。来週は私が作った予想問題を行いましょう。一日しかないのでエッセンスだけになりますけど。桐谷さん、全体は宜しくお願いします」
「あなたに言われなくても分かっているわよ。達也来週は予想問題ね」
「でもそれ作る時間無いだろう」
「達也と毎日復習しながら一人になったら並行して予想問題作っておいた。いつもの勉強と思えば大変じゃないわ」
うーっ、俺とやっぱり頭の中身違い過ぎ。
勉強会が終わった後、俺は玲子さんを送って行ったが、何故か早苗も一緒について来た。全く。
翌週も同じように平日と土曜日は早苗と一緒に勉強した。下駄箱からの帰り先週は居なかった涼子も一緒に帰るようになっている。何か言いたそうな顔をしていたが敢えて無視をした。先週いなかったのに何か有ったのかな?
そして日曜日は玲子さんの予想問題集を三人で解いた。
私、桐谷早苗。悔しいけど立花さんの方が良い所を突っ込んで来ている。でも負けないわ。
学年末考査は翌火曜から金曜日まで行われた。土曜日は休みだ。手ごたえは良かった。やはりこの二人に教えて貰って良かった。
勉強会期間中に加奈子さんから連絡が有った。もう東京に行くから明後日日曜日は朝から会いたいと言って来た。学年末考査の勉強会を理由に会っていなかったので、そういう事なんだろう。
早苗にははっきりと言ってある。もう加奈子さんとの関係を話してある以上、下手に隠すよりはっきりとした方が良い。
随分文句を言われたが、こればかりは慣れて貰うしかない。流石に前の様な事は無かった。渋々納得してくれたようだ。その代わり土曜日は一日中会う事を要求されたけど仕方ない。
土曜日は午前九時から午後七時までしっかりと付き合わされた。別れ際にもブーブー言われたが、ゆっくり慣れて貰うしかない。
翌日曜日。こちらも朝午前九時に加奈子さんの家のある駅の改札に居た。家を午前七時五十分には出て来たので一応十五分前には着いた。
いつもの様に待っていると駅前の交差点に彼女が現れた。しっかりと注目されている。
「達也、待ったあ?」
「いえ、いつも通りです」
「ねえ、もう実質三週間も会っていない。今日は、ホテル予約してある。朝からだけど、ねっ」
「…分かりました」
良く見ると黒い車が駅のロータリーの側で待っている。
「達也、来週末に東京に行く。でも毎週日曜日は必ず帰って来るから」
「はい」
「達也、今日はずっとここに居る。思い切りして。二週間分と今週分よ」
「でも、俺持って来てないですけど」
「ふふふっ、世の中には便利なものがあるの。だから心配しないで」
加奈子さんが俺の首に両腕を回して抱き着いて来た。
彼女は激しく要求して来た。食事もしない。途中一度シャワーを浴びた位だ。
もう午後三時。俺の右腕を枕にして目を閉じている。本当に綺麗な人だ。
あっ、目を開けた。
「達也、嬉しい。もっとして」
私三頭加奈子。学年末考査が有るという事で二週間達也と会えなかった。そして更に一週間後の今日やっと会えた。
彼に一週間でも抱かれないと体が乾き切ってしまう感じだ。もうこの人とは離れられない。ふふっ、離れなくてもいいんだ。決まった事だから。
お父様には反対されるとばかり思っていたら、彼が立石家の人間と分かったら手の平を返すように大賛成。途中ちょっと厳しい言われ方をしたのもお父様曰く、私の気持ちが本物か確かめたかったからだと言っていた。
更に事の次第をお爺様に話したら、まるで明日にでも立石家に行きたいばかりの言い様。昔の友が居るからと言っていた。
お正月に彼の家に行ってみれば、私以上にお父様やお爺様が彼のお父様とお爺様との久しぶりの会席を喜んでいた。
もう何も不安はない。彼と一生二人で過ごすことが出来る。正妻なんて私には関係ない。彼の側に置いてあるお人形だ。
もう少し彼の腕の中に居よう。そうすれば体全体が幸せを感じることが出来る。
流石に疲れたのね。達也が私の隣で目を閉じている。もう午後七時。会ったのは午前九時だけどこの部屋に来たのは午前十時。九時間も彼の腕の中にいた。やっと体の渇きが消えたわ。やはり私はこの人が必要。
あっ、目を開けた。
「加奈子さん。済みません。寝てしまいました」
「ふふっ、いいのよ達也。ずっと側にいて」
「はい」
それから少し遅いけど午後八時にルームサービスを利用して二人で夕食を取った。それからもう一度して貰ってシャワーを浴びてホテルを出た。
家まで送ると言ったけど、彼は頑なに拒否をした。多分桐谷さんの事を考えての事だろう。でも流石にこの時間に電車で返させる訳にはいかなかったので彼の家のある駅まで送って行った。
――――――
後半は加奈子さんの思いになってしまいました。でもこの人やっぱり凄い。達也とその周りを手の平に乗せている感じ。やっぱり三頭家の跡取りだけある。
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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