地獄のアロハオエ
白川津 中々
■
汗が滴り落ちたアスファルトからじゅうじゅうと蒸発音が聞こえそうなくらい、辺りには熱が満ちていた。
六月中旬。やたらやる気のある太陽に憎しみを向けながらひたすらにアロハオエ。我が女子校伝統、湿気払いの謎儀式を今年も行う事となったわけだが、例年に比べて気温上昇ハイテンション。どいつもこいつも顔を真っ赤にしながらアロハ〜である。カンカンの日照が容赦なく肌を焼き白いあの娘もまっかっか。色白美人がざまぁない。日焼け止めくらい塗ってこい(校則違反だけど)。あぁ、とうとう倒れた2組の松田。身体弱いのに無理するから。というか止めろよ教員。まずこの気温だぞ。なにが「伝統だから」だ。てめぇらテントでハンディファン浴びてみてるだけじゃねぇか。殺すぞ。あぁほら、また2組の六車が倒れた。もう無理だって。諦めろって。あ、教員がやってきた。これは流石に無理と判断したか? よし、中止だ中止。
「……続行!」
続行〜〜〜!? 頭イカれた奴しか教員免許取れね〜〜〜のか〜〜〜この国は〜〜〜!? まともな判断してくれ〜〜〜? ちゃんと試験してくれ〜〜〜! あ! 今度は2組の原野がダウン! また2組かよ! 虚弱すぎんだろ! だがさすがにこれで終わりだろ。3人もノックアウトしたらもう無理。絶対PTAから苦情くるって。ほらきた教員。もういだろ。さっさと終了の合図をしたまえ!
「……続行!」
何故〜〜〜!?
その後、灼熱のアロハは2時間続いた。多湿高温の日本で行われるアロハは、地獄。
地獄のアロハオエ 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます