第7話 はじまりのフィールド
零護と茉森はパーティーを組み、木々が生い茂るフィールドへと足を踏み出す。
「学園の地下なのに深い森になってるんだね」
コンクリートだった地面はフィールド化した場所から土と木の根、枯葉に埋め尽くされている。
「このフィールドのみフィールド解除条件は不明なようだな」
零護がステータスウィンドを開き、解除条件を確認するもAIの回答は不明だった。理由は分からないが、このフィールドは己の武装を手に入れれば、それでフィールド外に追い出される仕様らしい。
「ねえねえ武器ってどんなのがあるんだろ、私はやっぱりステッキが良いな、かわいいの。あ、でも映画で見たあんなステッキもいいな、ウィンガーディアム・レヴィオーサみたいな!」
メディアに疎い零護には何の呪文か全くわからなかったが、巫女が言うにしては洋風すぎる気がする。
まあ、そこが能天気でかわいらしく感じられるのだが。
「先生の話では自分のステータスに応じた最適な武装が入手できるといわれているが、さてどうやって探すべきか」
零護と茉森はとりあえず森の中を歩み、散策を開始する。他のパーティーに遭遇しないところをみると、このフィールドは結構広いのかもしれない。
「——マモリ、さがれ」
生命の気配を察知して、零護は茂みに身を潜める。茉森も言われるがままにしゃがみ込み、そっと茂みから顔を出した。
「狼だね」
「狼だな」
全身灰色の狼が五匹ほどの群れを成して鬱蒼と茂る森の中を歩いていた。MMOデバイスを開いてみると狼の情報が表示される。
「グレーウルフ、レベル10らしい」
これも先生の話によると自分とモンスターのレベル差は+3迄が目安となり、それ以上は命を落とす危険もあるという。
そのレベル10の狼が五匹もいるとなると、勝ち目は相当薄い。
「俺たちはレベル1だ、ここは迂回するべきだろう」
「そうだね、まだこっちは早いのかもしれない」
そろりそろりと茉森が歩き出した瞬間の事だ。足元の枝を華麗に踏んでしまったのか、瞬時に狼たちが零護たちを捕らえる。
「逃げるぞ、マモリ!」
「ご、ごめええん!」
零護と茉森は全速力でその場を後にするが、狼たちの足音は減るどころか次々と増えていく。
「零ちゃん、なんか仲間呼んでるみたいー!」
「このままでは囲まれてしまうか」
深い森の中を木々を避けながら、大勢の狼から走って逃げるのは不可能だ。
零護自身も現実の世界でそれは体験している。当時は父親が同行していたので何とかなったが、今は武器を持たない茉森しかいない。
────────────────あとがき──────────────────
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
初めてのラブコメなので、参考までに「★」「応援」「コメント」をいただけると、とっても嬉しいです。
いつかレビューがもらえたら嬉しいなと思いつつ、次回のお話も頑張ります。
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